五木寛之『深夜草紙 Part.3』(朝日新聞社,1978)を読む。
高校生の頃の読んだことのある気がするが、シリーズものなので勘違いかもしれない。1977年から78年にかけて週刊朝日に連載されたエッセーがまとめられたものである。
自民党の総裁選に関するニュースがテレビやネットで喧しいためか、次の一節が気になった。
異国へ出た日本人の同胞の大半が、どこかでそんな感慨(水と安全はタダで手に入ると思い込んでいる日本人は楽なところに生きている)を抱いて帰ってくるのではないか、と思った。そしてその実感が、〈ニッポン良い国〉から、〈日の丸最高〉の感情へエスカレートしてゆく心理の道筋がわかるような気がした。
良い国だから守らなければならない、守るためには戸締りが必要である、という例の発想だ。