鳥居恒夫・高林成年『植物園へ行きたくなる本』(リバティ書房,1993)をパラっと読む。
著者は両者とも千葉大園芸学部園芸学科の卒業で、実際に植物園に勤務され、何冊も本を出している専門家である。植物の分類など関心のない分野だったのでほぼ読み飛ばした。
一点、常緑樹と落葉樹の項は興味深かった。熱帯は常緑樹、温帯は落葉樹と括ってしまいがちだが、熱帯にもチークのように落葉樹も存在する。熱帯では他にも乾季に水不足を防ぐために落葉する樹木がたくさんある。また、常緑樹の葉も古くなると落葉するが、一度に全部落ちてしまわないので、気が付かないことが多い。
日本でも常緑樹があるが、初夏の頃、新芽が出ると同時に古い葉がたくさん落ちる。常緑樹だからといって、葉が落ちないわけではない。日本でも広く生育しているクスノキは、古い葉がほとんど落ちて新葉に変わるが、若芽が開いた直後なので落葉樹とはいわない。ツバキも常緑広葉樹に分類される。一枚の葉が3年くらいついて、新しい葉が広がる際に、古い葉の養分はすべて新しい組織のために使われるので、黄色や褐色になって落ちてゆく。