本日の東京新聞朝刊から

本日の東京新聞朝刊に、タレントでエッセイストの小島慶子さんのコラムが掲載されていた。ちょうど私と同年代で小学生のお子さんがいらっしゃるということもあってか、今の私に向けて発せられているような気がしてならない内容であった。
短い文章だったので味わいながら引用してみたい。

子育ての話をしていたら、ある男性が言った。「今は忙しい親が増えている。子どもと向き合うためには、接する時間を長くするべきだ」。まじめな父親なのだと思う。正論だ。だが、危うさも感じた。どんな人間関係も、長い間一緒にいさえすれば分かり合えるというものではない。母子密着の環境に苦しんでいる親子は多い。子育てに熱心な父親の過干渉に悩んだ人もいる。関係の健全さは一緒にいる時間の長さに比例すると思い込むと、人と向き合うことの本質が見えなくなる。
子どもには親との接触が何よりも大事な時期がある。忙しい親は皆、悩みながら子どもを育てている。私もそうだ。でも子どもはストップウォッチで親といる時間を計ったりしない。自分に全力で「あなたは誰?」と問いかけ、何よりも大切だと抱きしめてくれる人が誰か、子どもたちはうんと小さいときから見分けることができる。子どもが行かないでというときに、そうだね、同じ気持ちだよと切なく抱きしめてやる親の気持ちを、彼らはちゃんと分かっている。
時間の長さや行事の数で親が成果を計っても、子どもは記録では育たない。数えられないものを一瞬で与えることも奪うこともできるのが親子だ。数えずに向き合う関係は、他人の目では量れないものだと思う。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください