『学校・学歴・人生』

森嶋通夫『学校・学歴・人生:私の教育提言』(岩波ジュニア新書 1985)を読む。
著者は大阪大学で数理経済学を教える学者であり、長く「日本人初のノーベル経済学賞」の有力候補とされた人物である。著者自身の経歴に沿って、旧制高校から大学への移行期の混乱や大学内の人事などが批判混じりに説明されている。また、高校や大学も平等主義を建前としているので、いたずらな競争が激化されているということで、序列ではなく、種別によって学校を再編することを主張する。現在の高校再編にもつながる分野の話である。

私は知らなかったのだが、旧制高校の卒業生はかならずどこかの帝国大学に入学することができる仕組みだったとのことである。だから、進学や就職を心配することなく、一般教養や男子校のノリにのめり込んでいった。