春日部イオンで、森達也監督『福田村事件』(2023 太秦)を観た。
久しぶりにいい映画を観た感慨にふけった。
1923年9月に発生した関東大震災において、「朝鮮人が毒を巻いている」などの流言・飛語が飛び交い、朝鮮人や中国人、社会主義者ら6000人が殺害されている。千葉県福田村(現野田市)でも、香川県の行商人10人が朝鮮人と疑われ、自警団によって殺害されるという事件が発生した。この映画は、歴史の闇に埋もれていた福田村の殺害事件を真正面から取り上げている。
また、多数決主義に陥ってしまった大正デモクラシーの負の側面や、三一独立運動、1922年に発表された水平社宣言など、当時の日本の社会問題にもしっかりと触れられており、高校生に是非見せたい映画であった。
当初森達也監督が映画会社を回ったところ、どこも取り上げてくれなかったそうである。そこでクラウドファンディングで制作費を募ったところ、予想を超える額が集まった。また、出演してくれる俳優がいないのではという懸念があったが、どの俳優も即答で出演してくれたとのこと。
こうした日本の暗部に切り込んでいく映画が、観衆の力でヒットするというのは素晴らしいことである。