『レンズの向こうに自分が見える』

野村訓『レンズの向こうに自分が見える』(岩波ジュニア新書 2004)をパラパラと読む。
刊行時、大阪府立大手前高校定時制の教諭だった著者が、顧問を務めていた写真部の生徒が写真を撮ることを通して、自分と見つめ合い、そして成長していくプロセスを語る。

たった一言で、それまでトラウマを抱えて生きてきた生徒が目を輝かせる奇跡が描かれるのだが、教育現場に身を置くものとしては、美談調で学校ドラマ仕立てなのが気になった。実際の学校教育は徒労の積み重ねである。カメラを通して、部活動を通して生徒を支えていくことに異論がある訳ではない。一冊の本になった時に、あまりに切り捨てられているところが多すぎる。