本日の東京新聞朝刊に、諏訪湖の湖底から、数万年前に生成されたメタンガスが発生しているとの興味深い記事が掲載されていた。
少し難しい話をすると、諏訪湖は、松本盆地、諏訪盆地、伊那盆地などの、長野県を縦に走る糸魚川-静岡構造線を西縁とする大地溝帯(フォッサ・マグナ)のど真ん中に位置する。記事の下の図にあるように、太平洋プレートが西進によって形成される北米プレートとユーラシアプレートの狭まる境界と、中央構造線のずれる境界がちょうど交差する位置にある。
諏訪湖もアフリカ大地溝帯のタンガニーカ湖やロシアのバイカル湖のように、断層運動によって大地の窪みにできる地溝湖となっている。今回の記事も地溝湖ならではのスケールの大きい話である。諏訪湖を地図で調べても平均水深4.7m、最大水深7.4mとしか出てこない。しかし、記事では地下150mもの深さからメタンガスが放出されているという。
これと同じ話を、10年ほど前に長野県大鹿村にある中央構造線博物館を訪れた際に、もう引退された河本和朗学芸員が身体を使ってレクチャーを受けたことがある。手や腕を巧みに使って、中央構造線のずれと、諏訪湖の形成を説明されていたのを今でも記憶している。
私も河本氏の考えに従って、授業中はなるべくスクリーンの絵ではなく身体を用いて内的営力や外的営力を表現するように心がけている。授業を受けている高校生には、はしゃぐ中年男性としか映っていないかもしれないが。