『過剰な二人』

林真理子×見城徹『過剰な二人』(講談社 2015)を読む。
幻冬舎の創業者で、かつて角川書店で辣腕編集者として名をなした見城氏と、直木賞作家の話真理子さんの往復書簡集となっている。幻冬舎代表の本を他社の講談社から出ているのは、色々と大人の事情があるのだろう。

林真理子さんは次のように述べる。

私が小説を書くのは、少女の頃に培った妄想力があるからです。もし私が、現実で満たされていたら、おそらく作家になっていなかったと思います。でも、妄想力は作家に限らず、あらゆる仕事に必要ではないでしょうか。妄想力は現実に対する不満によって育まれます。それがあるからこそ、現状を変え、自己実現ができるのだと思います。

また、見城氏は次のように述べる。

今考えれば、僕のやったこと(営業や印刷、経理のことなど何も分からないまま、幻冬舎を立ち上げたこと)は、暗闇の中で100メートル先にある針の穴に糸を通すようなことである。これは自慢ではなく、素直に思うことだ。もう一度同じことをやれと言われても、絶対に無理である。それぐらい圧倒的努力をした。
「無知であること」は大事なことだ。それは業界の常識にとらわれないことである。だからこそ、不可能を可能にするのだ。
何か新しいことを始めようとする時、研究するばかりが能ではない。無知は、それ自体素晴らしい力になるのだ。