『東京島』

桐野夏生『東京島』(新潮社 2008)を読む。
雑誌「新潮」で4年近くにわたり連載された小説である。着の身着のままで無人島に流れ着いた人々の狂気の生活を描く。島で唯一の女性である清子を中心に、男女の営みや軋轢、過去のトラウマ、果ては原始宗教にまで話が及ぶ。数キロ平米の面積しかない狭い島なのだが、むき出しの人間性が描かれていて前半は大変興味深かった。
しかし、連載の途中で「大人の都合」が生じたのであろうか、最後の一章で唐突に話ジ・エンドを迎えてしまう。途中がスリリングで面白かった反面、心残りな終わり方であった。アニメ「エヴァンゲリオン」の最終話第25話、第26話みたいに、もう一つの結末を用意してくれないだろうか。

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