「英の離脱 終わりの始まり」

本日の東京新聞夕刊に仏のEU強硬離脱派の人民共和連合のフランソワ・アスリノ党首のインタビューが掲載されていた。私自身、テレビのニュースを見ている限り、反EUを掲げるのは右派の若者であり、国粋主義に繫がるものだと思い込んでいた。しかし、記事を読むと、アスリノ氏の主張は左派に傾いている。反EUという点だけで一緒くたにはできない文脈を読み取る必要がある。

他はEUの改革を掲げている。国民連合(旧国民戦線)のルペン氏も、今ではEU離脱を公約から外している。EUの存在自体を疑問視しているのはわれわれだけです。EUは機能不全。「出るしかない」というのが私の主張です。

欧州統合のプロジェクトはそもそも実現不可能だった。言語や宗教、経済が異なる28ヵ国を統治するには、各国の利益に合わず、市民が望まない政策を押しつけるという反民主的で独裁的な手法にならざるを得ない。フランスはアフリカ諸国などとグローバルな関係を築いてきたのに、白人のキリスト教国が集まるのは閉鎖的で人種差別的とも言えます。さらに、仏独の和解で欧州の平和が保たれてきたと皆言うが、21世紀の今日、対独戦争はあり得ない。逆に欧州が一つにまとまることで、中東やロシアとの亀裂が生まれている。

われわれは普通の国が持っている主権や通貨、民主主義を取り戻したいだけ。しかしメディアは、反EUと言えば極右か極左というイメージを植え付けようとするのです。

英国の失業率は4%に下がり、逆にポンド安で外国の投資が流入している。他国で離脱の連鎖反応が起きては困るので、EU支持者たちは必死に足を引っ張っているのです。英国はEUへの拠出額の方が分配される額より多く、立場が強いのはEUだけではなく英国。それはフランスも同じです。

EU創設はいったい何をもたらしたのでしょうか。産業や資本の移転が促され、結果的に利益を得たのは億万長者や競争力のある企業。フランスなどでは貧困率が上がった。市民にはEUの恩恵がないのです。いずれEUは破綻する。英国の離脱が、歴史的に終わりの始まりとなるでしょう。

大手メディアはわれわれの主張を取り上げない。UPR(人民共和連合)のウェブサイトは仏の政党で最もアクセス数が多く、ユーチューブは毎回十万回以上は視聴されています。支持者は海外に広がり、国内では外国にルーツのある人が多い。大半は十代から三十代の若者です。職探しに苦しむ若い人たちが、われわれの元に集まっているのです。