本日の東京新聞朝刊に、1923(大正12)年の関東大震災後、千葉県福田村(現野田市)で香川県から来た行商団が地元の自警団に暴行され、9人が殺害されたという「福田村事件」に関する講演会のお知らせが掲載されていた。
講演を行う辻野弥生さんの著書『福田村事件 関東大震災・知られざる悲劇』(崙書房出版)によると、1923年9月6日午前10時ごろ、関東一円で薬を売りながら、茨城県に向かおうとしていた香川県の被差別部落の行商団15人が福田村三ツ堀の香取神社で休憩した。震災後の混乱で「朝鮮人が放火した」「朝鮮人が来襲する」などの流言飛語が流れ込み、福田村と隣の田中村(現千葉県柏市)の自警団が行商団を尋問。四国地方の方言が理解できず、朝鮮人と疑い9人を殺害したとされる。
犠牲者の中には2、4、6歳の幼児3人もいた。妊娠中の23歳の女性も殺害され、胎児を含めると犠牲者は10人ともいわれる。
福田は首都圏にありながら利根川沿いの田舎風景が広がるのどかな地域であり、100年近く前に陰惨な事件が起きたとは想像もつかない。辻野さんの「『あった』ことを『なかった』ことにはできない。知って、語り継がねば」という言葉が印象に残る。