国井律子『アタシはバイクで旅に出る。:お湯・酒・鉄馬 三拍子紀行○1』(エイ文庫 2002)を読む。
ハーレーダビッドソン・スポーツスターで,東京から1泊2日で往復でき,温泉と日本酒を堪能できる旅を,写真と軽妙な文体で紹介する。毎回お決まりなのか,可愛らしい国井さんの温泉に浸かるサービスカットが掲載されている。
日本酒は全国どこでも出来るものだと思っていたが,酒造りには伏流水と良質の米が不可欠だということを初めて知った。ネットで調べたところ,伏流水とは,山地に降った雨や雪が地表を伝って河川へと流れ着き、川底から地中へと染み込み、地下に取り込まれる水のことを指す。地下に取り込まれた水は、地層に沿って流れている間にゆっくりと濾過され、土壌に含まれるミネラル類を吸収し、酒造りに適した水質になるとのこと。
つまり日本酒の名産地は,山奥でも平地でもなく,扇状地や火山の山麓に近いところに偏在する。そう考えるとこの本で紹介されている埼玉県・秩父,栃木県・芳賀郡,長野県・小布施,青森県,静岡県・焼津,福島県・会津の名酒のいづれも地域的条件を満たしている。