なだいなだ編著『〈こころ〉の定点観測』(岩波新書 2001)を少しだけ読む。
精神保健に関わる医師を中心に10人の識者の評論集である。漠然たる「こころ」をテーマとして、各人が専門分野を自由に語っているだけの安易な編集で、あまり面白くない。なだいなだ氏の章だけ読んだ。
改めて、自分はこうした心理関係の文章は苦手であると思い知った。なだいなだ氏だけは社会の病理に言及するが、他の論評は個人の問題ないし周囲の人との関係性に終始する。琴線に触れるような心の内面や人間関係の問題を掘り下げるような内容にどうしても関心が向かない。社会人になって二十年、やっとそこに気付いた次第である。