『世界の[下半身]経済が儲かる理由』

門倉貴史『世界の[下半身]経済が儲かる理由:セックス産業から見える世界経済のカラクリ』(アスペクト 2007)を読む。
著者の門倉氏は、ここ数年明石家さんま司会のバラエティ番組に頻繁に出演している経済評論家である。番組では話の腰を折る「いじられキャラ」が定着しているようだが、著作の方は分りやすい文章で内容もポイントを得ていた。
タイトルにもある通り、ソープランドやSMクラブ、ラブホテル、果ては非合法となっている「援助交際」に至るまで、大胆にセックス産業の市場規模を計算している。著者の計算式によれば、日本のSM産業であるが、月収入70万円程度のSM嬢が凡そ2万人おり、日本全国で1680億円の市場になるという。これは当時のユニチャーム社の2006年度の連結決算売上高に匹敵する数字である。その他にも様々な事情を抱えた外国人や貧困層によって支えられている非合法の売春ビジネスの実態や、入浴料とサービス料を分けて「売春防止法」を逃れるソープランドの仕組み、違法な海外送金を可能とする地下銀行の手法など、世界経済や税法の動きと連動しているセックス産業が大体理解できた。
著者は、表面的な取り締まりを強化することで、却ってアングラ化、ブラック化、郊外化していくセックス産業の本質を露わにしている。

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