『愛と知性』

宮本百合子『愛と知性』(新日本出版社 1989)を半分ほど読む。
1940年くらいから亡くなる1951年の間に、「婦人画報」や「婦人朝日」「アカハタ」など婦人書かれた女性問題を中心とした評論がおさ

1946年2月に行われた講演会の中で、宮本さんは次のように熱く語っている。

 皆さんどんな人でも一生のうちに手紙を書かない人はないでしょう。十五、六歳に誰しも日記を書き始めたくなって書きます。一生続ける人もあるし、途中で止めてしまう人もあるけれど。況してこの戦争では夫を或は子供を戦場に送った人々は皆手紙を書いています。あれは一つの文学的な歩みからいうと日本人というものがものを書くということについての大きな訓練だったと見ることができます。人間の心の話としての文学の端緒はそこにある。だから文学は師匠が要らない。ところが音楽になると、声を出すこと、譜を読むこと、指を大変早くピアノの上を滑らす技術、そういうものがたくさん分量を占めていて、どうしても先生がなくてはならないから、金持に独占されます。

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