『武器としての決断思考』

瀧本哲史『武器としての決断思考』(星海社新書 2011)を読む。
帯に「京都大学最強授業」とあり、京都大学でリベラル・アーツを担当する著者の授業の演習内容をそのまま活字に起こしたような内容である。
論理学や法律的思考を用いながら、ディベート能力や決断能力の向上が力強い口調で語られる。必要条件、十分条件、演繹、帰納、推論、根拠など、ディベートのキーワード概念について分かりやすく説明されており、初学者の私も理解しやすかった。

とりわけ、ディベート思考におけるメリット・デメリットの成立条件の解説が丁寧であった。筆者によるとメリットの条件は、「内因性」(なんらかの問題があること)、「重要性」(その問題が深刻であること)、「解決性」(問題がその行動によって解決すること)の3つが必要である。要は問題があって、それは深刻で、その行動を取れば問題が解決するということである。
また、同じくデメリットにも、「発生過程」(論題の行動を取ったときに、新たな問題が発生する過程)、「深刻性」(その問題が深刻であること)、「固有性」(現状ではそのような問題が生じていないこと)の3つの要素がある。つまりは、新たな問題が生じる過程をきちんと説明し、その問題が深刻であり、新たな問題は論題の行動を取らないかぎり生じないということを明らかにすればいいのである。

現在、少し大きなプロジェクトを抱えているので、参考になるところも多かった。メリット・デメリットの条件や反論への万全な対応など、なかなか頭で理解できるものではないが、「カラダで覚えていきましょう」と筆者が述べるように、仕事の中で試行錯誤してみたい。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください