トルストイ民謡集、中村白葉訳『イワンのばか』(岩波文庫 1932)を読む。
最近、仕事の疲れで気持ちがクサクサしていたので、雄大なシベリアの自然が生み出した文学に浸ろうと手に取ってみた。
表題作『イワンのばかとそのふたりの兄弟』の他、多少の贅沢が身を滅ぼす結果を招いた『小さい悪魔がパンきれのつぐないをした話』や、貪欲な土地所有の強欲を描く『人にはどれほどの土地がいるか』など8編の短編が収録されている。
どの作品にも、労働と倫理観がテーマとなっており、愚直なまでに勤労を重んじる姿勢と、三位一体の信仰を描いた『三人の隠者』や『洗礼の子』のように、ロシア正教のストイックな倫理観が作品の基調をなしている。
せせこましい人間関係にストレスを感じていたので、ちょっとした気分転換となった。
『イワンのばか』
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