第146回芥川賞受賞作、田中慎弥『共喰い』(集英社 2012)を読む。
表題作の他、短編『第三紀層の魚』が収録されている。
どちらも作者の生まれ育った山口県下関市を舞台にしている。『共喰い』の方は、作者と同じく昭和63年7月に17歳の誕生日を迎えた高校生が主人公であり、『第三紀層の魚』も、作者と同じく4歳で父親を亡くした少年の心模様がテーマとなっている。
特に、『共喰い』の方は、セックスや暴力をを通した父と息子の水面下の対立が克明に描かれており、古き良き時代の昭和の日活ロマンポルノの脚本を読んでいるような印象深い作品であった。
『共喰い』
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