高木仁三郎『プルトニウムの未来:2041年からのメッセージ』(岩波新書 1994)を読む。
今年最後の読書となった。最後を飾るに相応しい作品であった。
岩波新書には珍しく、2041年の「プルトニウム社会」を描いたSF小説作品である。廃棄物となったプルトニウムを満載したロケットが人工知能の勝手な判断で地球に落下するというド派手なラストシーンで終わる。
2041年のプルトニウムの増殖炉で働く技術者が、1994年の事故から50年近く眠りについていた「私」への語りかけで物語は進行していく。
2041年現在でもコントロールできないプルトニウムに頼ってしまった社会の原因は、1990年代前半のプルトニウムの推進政策や機会まかせで開発を進めてきた人間の怠慢にあるという批判が語られる。確率的に何万分の1という事故が実際に起るという話は、3.11の事故をまるで予見していたかのようである。
『プルトニウムの未来』
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