『弱気の蟲』

松本清張の『弱気の蟲』(光文社)を読んだ。
賭麻雀におぼれていく公務員の姿が生々しく描かれていた。しかし作品のストーリーの背景に、私大出身ゆえに出世の道から外された課長補佐の心理も描出されていた。私は小学校3年か4年の時に『点と線』を読んで以来、時折松本清張は愛読しているが、最近は「昭和の時代小説」として楽しむことができるようになった。携帯電話が存在しなかった時代ゆえに電報やテレックスが登場してきたり、今では崩れてしまった倫理観がかいま見られたり、「昭和も過去になったなあ」と本題の推理以外のノスタルジアを味わうことができるのである。

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