『遠い接近』

松本清張『遠い接近』(光文社)を読んだ。
戦前教育兵時代に受けたリンチを戦後に復讐するという代物であった。軍隊に不満を抱きつつも家族を抱えている軍人は、団体生活の中で、国家に奉仕するという方向性しか見えなくなってしまう現実がリアルに描かれていた。現在のサラリーマンも肩書きを背負ってスーツに身を包み、携帯電話と名刺とシステム手帳で武装しているのだが、現在の企業戦士との類似点がまざまざと想起された。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください