松本清張『影の地帯』を読んだ。
やはり携帯電話普及以前ゆえに成立しえた物語世界観だという気がしてならない。携帯が普及してしまった現在では、山で遭難したり、病院に隔離されたりして外部や、家族と連絡が取れなくなるという状況がリアリティーを持ちえない。大体ある人物と連絡を取るのに、その家に連絡して、家族に伝言を託すという一場面一つとっても不自然な感じが残る。それほどにコミュニケーションのスタイルが変わっていく中で、小説の世界観が現実に追いつき、追い越していくのは難しいことになるのだろう。
『影の地帯』
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