『溺れ谷』

松本清張『溺れ谷』(新潮文庫)を読む。
尾崎秀樹の解説が面白かった。有吉佐和子の『複合汚染』や城山三郎、堺屋太一などの小説を「情報小説」と位置づけ、読者の眼を社会へと向けさせていく啓蒙小説という論だ。ちょうど1870年代にそれまでの封建制と対峙する啓蒙小説が広く流布される時代があった。それらに影響された読者が自由民権運動を下支えしていった。この尾崎さんの論は1975年に書かれた古いものだが、何かしら新しさを感じた。

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