月別アーカイブ: 2025年11月

『海辺再生』

NPO法人三番瀬環境市民センター『海辺再生:東京湾三番瀬』(築地書館,2008)をパラパラと読む。
三番瀬とは、東京湾のいちばん奥、千葉県市川市と船橋市沖に広がる干潟・浅瀬のことである。そもそも干潟とは水深1メートルよりも浅い海域で、干潮時に干出して陸地となる場所である。特に三番瀬は河口に位置する汽水域なので、ノリやアサリ、ハゼ、カキなど豊富な生態系を抱えている。

ホームページも閉鎖されており経緯は分からないが、千葉県のホームページで確認したところ、県庁主導でラムサール条約登録促進事業を展開している。また、ふなばし三番瀬海浜公園として干潟が残され、園内にはふなばし三番瀬環境学習館が設けられ、子ども向けのワークショップなどしっかりと行っている。公園以外の地域は直立海岸で囲われてしまったものの、市民運動が行政を動かし、市民公園として保存されるという所期の目的を達した先行事例として覚えておきたい。

『高校生のための大学の授業』

水島治他『高校生のための大学の授業』(弘文堂,2008)の最初の2編を読む。
全国各地の大学の先生で分担し、株式会社の仕組みや経済、経営、マーケティング、ロジスティクス、ファイナンス、会計の7編で構成されている。株式会社の仕組みと市場均衡の項だけ読んだが、教科書よりも分かりやすかった。一部抜書きしておきたい。

2005年に商法からスピンオフされて独立した会社法では、「会社が倒産したとき、会社の債務を社員がどこまで負担するのか」という点に着目して会社を分類している。そして社員全員が無限責任の合名会社、社員全員が有限責任の株式会社、両者の混合タイプの合資会社、社員全員が有限責任で利益の分配など社員間で柔軟に決定できる合同会社の4つに分類される。

『被爆のマリア』

田口ランディ『被爆のマリア』(文春文庫,2009)を読む。
先日の長崎の平和集会で、被爆のマリアを実際に目にしたので、手に取ってみた。
雑誌「文學界」(2005年8月号〜11月号)に掲載された中編4作品が収録されている。いずれも原爆にまつわる小説で、浦上天主堂に展示されている被爆のマリア像をモチーフにした表題作と、広島の被爆体験の語り部の女性や「原爆の火」を中心とした家族ドラマ、広島に流れる時間軸を超越した小説家など、発想に富んだ作品で飽きることがなかった。

広島を舞台にした小説は、原爆から60年経った現代の不安定さをテーマとしており、こうの史代さんの漫画『夕凪の街 桜の国』に雰囲気が似ており面白かった。「被爆の〜」は、被爆したマリア像が物語のアイテムとしてしか使われておらず、首を傾げてしまうような内容であった。

『テレビは変わる』

岡村黎明『テレビは変わる』(岩波ジュニア新書,1979)をパラパラと読む。
一家にテレビが2台以上普及し、テレビの視聴時間も3時間以上となった1970年代後半、ブラウン管テレビの進化や、テレビによって社会が作られる危険などが丁寧に説明されている。
1953年にNHKと日本テレビが開局しているが、テレビの普及率が全国で1000台程度であったので、広告費を払うスポンサーがいなかったそうだ。そこで、街頭テレビで当時人気のあった野球や相撲、プロレスを放映し、視聴者の多さをアピールしたようだ。

『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』

先日の金曜ロードショーで放映された、ハリソン・フォード主演『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル Indiana Jones and the Dial of Destiny』(2023,米)を観た。
トム・クルーズ主演の『ミッション・インポッシブル』と異なり、いかにもCGと分かる画像で、先日終了が告知されたスーパー戦隊シリーズのアクションシーンを見ているような感覚になってしまった。敵のナチスと戦うアメリカ人という設定も、勧善懲悪なスーパー戦隊を彷彿とさせる。
内容もドタバタアニメのような内容で、アルキメデスが作ったタイムワープの機械って、何だそりゃ?