本日の東京新聞朝刊に、ウクライナ産のとうもろこしを積んだ貨物船が、品質を理由にレバノンの業者に買取を拒否され、海上を彷徨っているとの記事が掲載されていた。
注目してほしいのが、貨物船がシエラレオネ「船籍」ということだ。実は船にも人の国籍と同じように「船籍」というものがある。しかし、シエラレオネは西アフリカに位置し、ウクライナやレバノンから遠く離れている。
こうした船主が船籍を「便宜」的に外国に置いた船舶を便宜置籍船とよぶ。貨物船やタンカーなど巨大な船になると登録料や税金が大きくなり、登録手続きや安全に関する規制などが厳しくなる。こうした負担を逃れるために、世界中の船舶業者が書類上だけ他国に登録するのが通例となっている。一方、置籍船の多い国にしてみれば、貴重な外貨収入源となり、お互いにウィン・ウィンの関係と言える。
船籍のランキングは以下の通りである。日本も10位にランクしているが、実は日本の商船の6割がパナマ船籍となっている。シエラレオネ船籍は第53位となっている。乗組員の大半がウクライナ語もアラビア語も理解しておらず、レバノンの商社と船舶業者との連絡が上手くいかなかった点が背景として指摘されるのであろう。