内田康夫『黄泉から来た女』(新潮社 2011)を読む。
著者が70代後半だった頃の作品である。京都府宮津市天橋立と山形県鶴岡市羽黒町手向の2つの町を舞台に起こった連続殺人事件に浅見光彦が挑む。名探偵浅見光彦の閃き通りに謎が解けていくので、幾分興味が削がれたが、出羽三山を参拝する千葉県の講の話など興味深かった。内田康夫ミステリーとして完成度の高い作品であった。
千葉県立中央博物館のホームページから引用してみたい。
千葉県は全国的に見てもとりわけ出羽三山への信仰が盛んな地域として知られており、「男は一生に一度は三山(サンヤマ)に行くもの」という意識が根強くあります。サンヤマといえば千葉県では出羽三山のことで、サンヤマへの登拝を「奥州参り」といいます。出羽三山への登拝は、山に集まる先祖の霊を供養するためであり、また、山を巡ることで生きながらにして死後の世界を体験し、穢れに満ちた身を捨てて蘇ること(擬死再生)ができると考えられています。