月別アーカイブ: 2020年8月

「風前の英石炭 再エネ急成長」

本日の東京新聞朝刊より。
産業革命の発祥の地である英国で、石炭火力発電が風前の灯火であるとの記事である。
記事内容から脇道に逸れるが、産業革命について触れておきたい。産業革命とは、18世紀の後半にイギリスで石炭を燃やす蒸気機関が発明されたことに端を発し、ポンプや紡績機、製鉄、蒸気機関車、蒸気船などに応用され、世界中の暮らしが激変した一連の流れを指す。

蒸気機関の燃料である石炭は、古生代(約5億4000万年前から約2億5000万年前まで)の頃に、シダ植物や針葉樹林が堆積し、地圧や地熱を受けて変成したものである。そうした古生代の頃に形成された地形を地理用語で「古期造山帯」と呼ぶ。世界中の大陸に遍在するが、とりわけ中国の北部地域や北米のアパラチア山脈、北欧のスカンディナヴィア山脈、ロシアのウラル山脈、南アフリカのドラケンスバーグ山脈、イギリスのぺニン山脈の周辺地域などが有名である。いずれもその地域で産出される石炭を使って工業発展を遂げている。

イギリスは自国で石炭を産出できるにも関わらず、石炭火力発電から再生可能エネルギーに舵を切っていくのだ。中国や南アフリカは依然として自国で賄える石炭火力発電が主流である。石炭の欠点は植物由来のため不純物が多いことだ。燃焼すると硫黄酸化物や窒素酸化物などの大気汚染物質が発生してしまう。日本も資源供給が安定している石炭火力発電に大きく依拠しており、再生可能エネルギーに尻込みしている。でも大丈夫?

こうしたエネルギー問題について3学期に考えていきたい。

「周庭、黎智英氏ら保釈」

本日の東京新聞夕刊に、香港の民主活動家の周庭さんや、中国政府に批判的な香港の日刊紙の創始者の黎智英氏たちを保釈したとの記事が掲載されていた。テレビのニュースでも報じられていたので、知っている人も多いであろう。

「香港国家安全維持法」などというトンデモ法を前にして、正攻法の司法闘争をしてもあまり意味はない。新疆ウイグル自治区やチベット自治区と同じように、なし崩し的に「中国化(漢民族同化)」がゴリ押しされるだけである。

保釈時にパスポートを没収されたとのことなので、自力で香港を脱出することは難しい。日本や米国、英国、台湾、ASEAN諸国の政府レベルで協議を進め、「人権」という共有点で、彼女たちをギリギリで守っていく体勢(亡命支援)が求められる。また、SNSを通して民間、草の根レベルで、香港における表現の自由を擁護していくことも有効である。日本政府のイニシアチブが問われている。

なお、付け加えておくと、某米国大統領のように、香港の「人権」問題と東シナ海や南シナ海における「軍事」衝突を安易に繋げてしまうのは避けたい。「中国政府は危険だ」という一方的な発想は、複雑な国際問題を単色な善悪の色メガネでしか捉えられなくなり、やがては米軍の東アジア展開を正当化し、沖縄の基地の固定化や日本の軍事費の増加に行き着いてしまう。

参考:□中国における人権問題 : アムネスティ日本 AMNESTY

『マニラどつかれ路地裏紀行』

のなか悟空『マニラどつかれ路地裏紀行』(第三書館 2007)を数ページだけ読む。
著者はアングラなジャズドラマーを生業としている。フィリピン・マニラでの体当たり生活を独自のリズムで綴っていく。一人語りのべらんめえ調の文体が受け付けられず、数ページで挫折。

「伊勢崎・桐生で40.5度」

本日の東京新聞朝刊に、昨日の酷暑の模様が報じられていた。

猛烈な暑さとなる仕組みについて、授業の復習をします。まず、1日の単位で見ていくと、日中は海よりも陸地の方が比熱が小さいので、内陸側の方が急激に暑くなります。また、季節単位で見ていくと、夏季はユーラシア大陸と太平洋の間の気圧差によって太平洋高気圧が張り出し、暖かく湿った風が関東地方を通過していきます。そうした風は東京都心で更に暖められ、山梨や群馬、栃木の山脈にぶつかります。この2つの要因が重なり、熊谷などの埼玉県北部地域や、伊勢崎・桐生といった群馬県南部地域で猛烈な暑さとなります。

また、そうした地域は急激な上昇気流が発生するので、積乱雲(別名:入道雲)ができやすくなります。ちょうど上昇気流が一服する午後2時以降から夕方にかけて、上空で急激に冷やされた空気が飽和し、夕立やゲリラ豪雨、雷などが発生します。1時間に50mmを超える激しい雨が降り続くと、冠水や土砂崩れなどの都市型水害を引き起こします。

東京都心や大阪ももちろん暑くなりますが、それ以上に人口密集地帯から少し内陸に入った埼玉県や群馬県、山梨県、岐阜県などで最高気温の記録が生まれていきます。気象庁のホームページに全国の最高気温ランキングが掲載されています。その点を確認してください。