月別アーカイブ: 2020年8月

『ミクロにひそむ不思議』

牛木辰男・甲賀大輔『ミクロにひそむ不思議:電子顕微鏡で身近な世界を見る』(岩波ジュニア新書 2008)をパラパラと読む。
タイトルそのままの内容で、電子顕微鏡で肉眼では見えない繊維の断面や木材の構造、食材の結晶、昆虫の毛などが写真と解説で紹介される。
クモやハエなどは、ほとんどSF世界の化け物である。

『5日でわかる世界歴史』

羽仁進『5日でわかる世界歴史』(小学館文庫 1999)を読む。
1994年に刊行された本の文庫化である。単行本の方は読んだことがあるが、全く内容は失念しており、初読のつもりで楽しむことができた。

時代や地域を横断的に語るので、四大文明や三代宗教について、人間の営みという点から理解することができた。また、宋の王安石の「新法」も、長い歴史の発展から語られており、大変興味深かった。

王安石は、11世紀半ばに10年近く政権を握り、青苗や募役、均輸、市易、保甲、方田均税など、次々に社会経済政策を先駆した人物として知られる。貧しい農民に資金を融資したり、零細商人から直接買い上げを行ったりするなど、貧困対策をしっかりと取ることで、国家を繁栄させようという施策である。

しかし、当然のことながら、こうした社会主義政策に対しては、地主豪族や高級官僚、朝廷の重臣、皇族からの反対の声があがる。『資治通鑑』で有名な司馬光は、徹底して新法に反対している。また、蘇軾や欧陽脩といった見識高い人物たちも、国家が民間の経済活動に介入することは間違いだと、新法に反対の立場をとっている。「小さな政府」か「大きな政府」の議論が、1000年も前に行われていたのである。

「マリ 政府・議会解散」

本日より長い2学期がスタートしました。
短い夏休みはいかがお過ごしだったでしょうか。
猛暑・酷暑の最中、体調と気持ちは大丈夫ですか?

本日の東京新聞

「プーチン氏が『支援』表明」

本日の東京新聞夕刊より。
昨日の記事で、ベラルーシにおける反政権デモの高揚に対して、ルカシェンコ大統領がプーチンに支援を要請したとの報道がありました。プーチン氏が大統領選挙における不正疑惑を解明する前に、支援を表明したとのことです。

少し難しい話になってしまいますが、ベラルーシ国内には、ロシアで産出した天然ガスのパイプラインが建設されています。ベラルーシを経由してドイツまで繋がるロシア経済の生命線です。記事の中でベラルーシがエネルギー分野で脱ロシア化を推進しているとありますが、これを機にロシアとベラルーシの関係は元の鞘に収まっていくのではないでしょうか。

実は、ベラルーシだけでなく、ロシアの天然ガスパイプラインが建設されている国では、ロシアの後ろ盾による独裁国家が蔓延っています。カスピ海に面したアゼルバイジャンやカザフスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタンなどの旧ソ連の国々が、ロシアとの資源取引で利益を独占する体質から抜け出せずにいます。一方で、そうしたロシアの資源外交の籠絡に反旗を翻したのがウクライナです。ソチオリンピックが開催された2014年に激しい衝突が起きました。

おそらくプーチンは周辺の親しい独裁国家がウクライナのようにならないように、様々な手心を加えていくことでしょう。2学期後半の授業で、地図帳を確認しながら、中央アジアやコーカサス地方の政治経済の難しさに触れていきたいと思います。