千葉雅也『勉強の哲学:来たるべきバカのために』(文藝春秋 2017)をパラパラと読む。
デゥルーズやガタリなどのフランス現代思想の切り口で、そもそも学ぶということの意味を深く掘り下げていく。そして、勉強することで他者との関わりを問い直すことで、言語を媒介とした認識を新たにしていくことを「来るべきバカ」の状態と定義する。
最後の章では、入門書の読み方やクラウドサーバーの使い方など、実践的な勉強方法を指南する。都合の良いところだけ引用しておきたい。
信頼できる著者による紙の書物は、検索して上位にすぐ見つかるようなネットの情報よりも信頼できる。この態度を、勉強を始めるにあたって基本とすべきです。「まとも」な本を読むことが、勉強の基本である。
読書と言えば、最初の一文字から最後のマルまで「通読」するものだ、というイメージがあるでしょう。けれども、ちょっと真剣に考えればわかることですが、完璧に一字一字全て読んでいるかなど確かではないし、通読したにしても、覚えていることは部分的です。
通読しても、「完璧に」など読んでいないのです。
ならば、ここからだんだん極論へ行けば、拾い読みは十分に読書だし、目次だけ把握するのでも読書、さらには、タイトルを見ただけだって何かしらのことは「語る」ことができる。(中略)
バイヤールによれば、読書において本質的なのは、本の位置付けを把握することです。(中略)
勉強を深めるには、多読というか、通読はしなくてもたくさんの書物を「知る」必要があります。頭なのなかにブックマップをつくる-この書物Aは、Bの影響を受けている、Bの結論はCと対立している、というような位置関係を説明できるようにする。そうすることで、ある分野の森を見渡すことができるようになる。