本日の東京新聞朝刊に、9月の北海道の全域停電に際して、揚水式の北海道電力京極発電所が復旧に大きな役割を果たしたとの記事が掲載されていた。揚水式発電所というと原発の補完的な設備であり、夜間にだぶついた電力で揚水し、昼間に放水して発電し最大需要に応えるといったものだと思い込んでいた。森林の破壊もあり、全く考慮する余地のないものだという認識だった。
しかし、記事によると、上下2つのダムで構成し、下のダムからポンプで水をくみ上げれば蓄電池に、上のダムから放水すれば発電所に早変わりする揚水式発電所は、太陽光や風の強さによって出力が不安定となる再生エネの「波」を整え、電力の需要と供給を一致させる強力な武器となるという。
札幌近郊にある京極発電所では、昼間に余った太陽光の電力で水をくみ上げ、上のダムに貯水し、日が暮れて太陽光の発電が落ちる夕方になると、上野ダムから放水して発電し、需要が増える夕方の電力供給の一割を賄った。石炭火力や原発は出力の調整に時間がかかるのに対し、最新の揚水式の京極は、わずか3分でフル稼働することができ、電力需要に細かく対応することが可能である。
大規模な風力や太陽光の発電所は、蓄電池で安定させてから送電網に接続する必要があるが、この揚水式を活用することで、すべての再生可能エネルギーの受け入れが可能になった。
詳細については触れられていなかったが、夜間電力の活用とは真逆のシステムが構築され、更なる運用が検討されているというのは評価したい。