日別アーカイブ: 2016年12月17日

『学校という舞台』

山口昌男『学校という舞台:いじめ・挫折からの脱出』(講談社現代新書 1988)を読む。
随分長く本棚に眠っていた本である。
各地で行った講演の内容をまとめたのものなので、統一感に欠けるが、いじめの構造や子どもの本質、親子関係の変化について分かりやすく説明されている。また、講演に加えて掲載されていた、著者自身のの子どもの頃から人類学の研究者になるまでの逸脱ばかりの自伝的学校論の方が面白かった。
最後のあとがきの一節が印象に残った。

階層秩序の体型のなかに人間を貼り付けるための教育は、執拗な努力により無化しなければならない。そのために、普通、挫折と思われている現象のなかに一人の人間の多様性を見出し、それをバネに転化しうるきっかけが含まれていることが改めて確認される必要がある。(中略)国際社会のなかで日本人が強靭なバネを身につけて生き残るための手がかりは、むしろ、こうした部分に求められるのではないか。