以下、救援連絡センターのメーリングリストからの転載です。
私たち「川崎反ヘイト学生救援会」は、神奈川県警による学生に対しての「器物損壊容疑」を理由にした不当な任意出頭要求・家宅捜索に抗議し、本声明を公表します。
発端となったのは、今年6月5日に行われた「川崎発!日本浄化デモ第三弾」に対する抗議行動です。デモ名が一例を示すように、在日外国人が多く居住する川崎市では、とりわけ外国人居住者の集中する地域を標的とした差別扇動行為(ヘイトスピーチ)が繰り返されており、これに反対する多くの市民が抗議行動を続けてきました。私たち学生も、民主主義社会でのヘイトスピーチの蔓延を許してはならないという意思のもと、抗議行動に参加してきました。こうした草の根によるヘイトスピーチへの批判的な世論は次第に全国的な高まりを見せ、6月5日には市民の抗議の中、行政指導のもと主催者がデモの中止を決定するという結果に至ります。
ところが10月、突如神奈川県警は抗議に参加した一学生に対して、器物損壊を被疑事実とする任意出頭要求や実家への訪問を再三にわたって行い、12月には学生の居宅を捜索するという行動に出たのです。警察の主張する被疑事実はまったくの虚偽であり、当学生が嫌疑をかけられるいわれはありません。にもかかわらず、不相当な理由に基づいて捜索を行い、学生の私物を押収した神奈川県警の行為は暴挙というほか無く、到底許容できるものではないと言えます。
付言すれば、近年日本国内では通称「ヘイトスピーチ解消法」の制定・施行を代表に、ヘイトスピーチを繰り返す団体に対する社会的包囲が形成されてきました。こうした状況の中で、ヘイトデモ側の言い分を根拠に嫌がらせにも等しい「捜査」を行う神奈川県警は、まさしく社会に逆行するものであり、反差別街頭運動を不当に抑え込んでいるという糾弾を免れえないのではないでしょうか。
先日、沖縄・高江における機動隊員の「土人」発言が問題になりました。鶴保沖縄・北方担当相による擁護と、それを承認する閣議決定は耳目に新しいことでしょう。また、ヘイトデモに対する過剰警備や、抗議側への過剰規制はたびたび批判されてきました。今現在問われているのは、警察が持つ立場性に他なりません。警察組織は直ちに、差別に対する立場を明確にする責任を負っていると考えます。
私たちは上記のような、神奈川県警による不当な捜査の執行に強く抗議します。神奈川県警は、直ちに事実の基礎を欠く捜査を中止し、押収品を還付するとともに、当該学生に対して謝罪せよ。また差別・排外主義に断固反対し、ヘイトスピーチ解消に向け尽力する旨の声明を発表せよ。