海老原嗣生『偏差値・知名度ではわからない 就職に強い大学・学部』(朝日新書 2012)を読む。
具体的に大学名をあげ、「就職に強い大学だと銘打てるのは、関関同立・6大学GMARCHあたりまで」「下位の大学ほど、就職率は「金融系」でカバー」「文学部は人気企業への就職に不利」「大東亜帝国では就職を希望しない学生を除いて就職率を計算しているが、そうした『操作可能な学生』の割合が4割を超えている」など、インパクトのある話が続く。
最後に、筆者は次のように述べる。口で言うのは簡単だが。。。
(薄っぺらな就職対策に力を入れる大学側の動きに対して)企業が望むのは、的確に相手の質問意図をとらえ、それに対して、説得力の高い応答を、素早く、しかも簡潔に行えることである。そういう力は、「面接対策」ではなく、学問・学究活動をしながら十分磨ける。この部分は、大学教育と融合が可能なはずだ。こうした、本質的な考える力の養成ならば、スキル教育を重視する専門学校とも一線を画すことができるだろう。
つまり、考える力を鍛えるようなシラバスを作り、そのシラバスの題材として、経済や法律や文学などを利用すれば、大学教育と社会人力養成は相反さない。そうすれば、学生も学業に力を入れる。
逆に、現状のような「就職活動を後ろ倒しにする」などという本質的ではない対症療法を繰り返していても、決して学生は学業に力を注ぎはしないだろう。