内田康夫『箸墓幻想』(毎日新聞社 2001)を読む。
毎日新聞日曜版で連載された小説の単行本である。卑弥呼の墓とも言われる奈良県桜井市にある箸墓古墳とその脇にあるホケノ山古墳を舞台とした殺人事件で、畝傍山や橿原神宮、長谷寺、二上山など飛鳥地方を代表する観光地も数多く登場し、更には邪馬台国論争までも絡んだボリュームたっぷりの内容であった。400ページを超える作品であったが、歴史ミステリーにどっぷりと浸かることができた。
後半は、作者お得意の戦前戦後の混乱期での複雑な人間関係が話の中心となるが、最後まで古墳に纏わる古代史の魅力が色褪せず、楽しく読むことができた。
いつか、三輪山から箸墓古墳を経て春日山まで通じる日本最古の道ともいわれる「山辺の道」を走ってみたいと思う。
『箸墓幻想』
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