内田康夫『藍色回廊殺人事件』(講談社文庫 2002)を読む。
1998年に単行本として刊行された本で、ちょうど当時問題となっていた徳島県の吉野川可動堰建設の是非がモチーフとなっている。建設推進側による、何十年かに一度発生する洪水の予想流量の意図的な操作の証拠を掴んだ人物が連続して殺害される刺激的な内容となっている。痴話混りの殺人事件そのものよりも、大型公共工事にまつわるきな臭い動きや、反対派の動きを封じる巧みな工作など、社会派作品としての側面の方が興味深かった。
『藍色回廊殺人事件』
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