月別アーカイブ: 2012年12月

『ザ・コア』

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地上波で放映された、ジョン・アミエル監督『ザ・コア:The Core』(2003 米)を観た。
地球の中心の核(コア)が動きを止めてしまったので、地球が壊滅状態に陥ってしまう。そこで秘密裏に開発されていたレーザービームで岩石を破壊しながら進んでいく船に乗って地下3200キロまで深く進み核爆弾をぶっ放すという子ども向けの設定となっている。地下深く進んでも気圧も気温も変わらなかったり、船の中ではタバコを吸ったり、なぜか地上と交信ができたり、突っ込みどころ満載のB級映画であった。

「これはB級映画だ」「シネマハスラーだったらどんなに酷評されているだろう」と思いながら2時間半近く観てしまった。

ゴジラ引退

本日の東京新聞夕刊に、日米の野球界で活躍した松井秀喜外野手の引退が報じられている。巨人では「紳士」たる態度を保ち、米野球でも「真摯」に野球に打ち込んだ姿は、野球だけでなく他のスポーツやビジネスの世界でも参考になるところが多かった。

松井選手が甲子園で活躍したのは1992年の夏だった。松井選手の引退の記事を読みながら、自分自身の1992年の夏を振り返ってみた。当時は伊勢原市に住んでいたが、定食屋のテレビで甲子園のニュースや日本シリーズを見ていた記憶が残っている。まだJリーグが始まる前の年であった。松井選手の5打席連続敬遠とヤクルト杉浦選手の代打さよなら満塁ホームランと、スポーツは野球一色の時代であった。

来年で私も不惑を迎える。人生の折り返し地点を回った最近は、長く活躍したスポーツ選手や芸能人に自分の人生を準えるようになってきた。あの夏からずっと松井選手は第一線のスポーツ選手として活躍し続けてきたのだ。あの夏からずっと。。。

『デジモンアドベンチャー:ぼくらのウォーゲーム!』

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地上波で放映された、細田守監督『デジモンアドベンチャー:ぼくらのウォーゲーム!』(2000 東映)を観た。
細田監督作品というだけで、「デジモン」について何の知識もなく観た。ポケモンの進化版か何かと思っていたが、どうも違ったらしい。同じ細田監督作品の『サマーウォーズ』と内容はかぶっており、新たな感動はなかったが、この作品が当時放映されたときは斬新な評価を得たのであろう。

 

猪瀬直樹「言葉の力」

本日の東京新聞朝刊に、作家である猪瀬直樹都知事「言葉の力」についてのインタビュー記事が掲載されていた。オリンピックやエネルギー政策といった政治的課題ではなく、若者の言葉について訊ねるという、東京新聞社会部ならではの「にくい」企画である。

就任後、猪瀬都知事は庁内すべての局にツイッターのアカウント持つように指示を出したとのこと。140字という制限の中で文章を練ることで「5W1H」を踏まえた正確な表現が身に付くようにとの配慮である。石原前知事も猪瀬知事も役所特有の言葉やカタカナに染まっては市民感覚から離れていくとの危惧があるようだ。また、猪瀬知事は私立を含めた都内の高校全部に「ビブリオバトル」という書評合戦への参加を働きかけるそうだ。詳細については触れられていなかったが、本を読む、作者や時代について調べる、心理を考える、要点をまとめる、そして発表するという言葉の総合格闘技のようなイベントと想像する。猪瀬氏の政治的スタンスは好きではないが、彼の言葉に対する姿勢は大変共感できる。

話は異なるが、都知事の政策に「右にならえ」の上田埼玉県知事もいつ猿真似−ビブリオバトル埼玉大会−を始めるやもしれない。少し研究しておく必要がありそうだ。
猪瀬氏は若者のコミュ二ケーションについて次のように述べている。高校の国語教師として突き刺さるような指摘である。丁寧に引用してみたい。

本を読むことは聞くこと。ずっと集中して聞いていくと、本当にしゃべることができるようになる。若い人はすごく言葉の感度がいい。ただ、それが意識化されているかどうか。意識化するのが言葉。例えば、自分がなぜファッションを着ているか、意味を説明できるかが重要。自分とは何か、言葉でどこまで意識化したかということになる。 自分の長所はなかなか見つからないが、短所がすぐ見つかる。実は、短所は自分の個性なんです。それを言葉にしていく。短所を長所として認識していく過程が大事なのです。 そのためには、本を読まないといけない。シェークスピアにも源氏物語にも、過去の本にだいたいのことが書いてある。自分が新しく思い付いたことはそんなにない。そこで一つでも新しいことを付け加えられれば、自分が出来上がる。読みもしないで、初めから自分に何かあると思うのは幻想で、人の言葉でしゃべっているだけ。自分をつかまえるには、過去に使われた言葉を整理する必要がある。

パンフレット研究:高知工科大学

高知工科大学のパンフレットを読む。
「日本にない大学。」を売りにし、1997年に公設民営大学のさきがけとして誕生した新しい大学である。しかし地方の工学系の私立大学ということで2006年に定員割れを起こしている。その後2008年にマネジメント学部(経営学部と同じ)が設置され、さらに2009年には公立大学として新たに出発し、工学部をシステム工学群、環境理工学群、情報学群の3学群13専攻に再編している。公立大学の恩恵で2012年入試では全国から受験生が集まり、一般入試で4倍近い競争率をたたき出している。推薦入試は高知県内枠が半数以上を占めるためか、倍率が1倍台に留まっている。

システム工学群は機械工学専攻、ロボット工学専攻、航空宇宙工学専攻、電子工学専攻、光エレクトロニクス専攻、建築・都市デザイン専攻の6専攻。環境理工学群は化学・生命科学専攻、ナノ・物質科学専攻、環境科学専攻の3専攻。情報学群は情報と人間専攻、情報とメディア専攻、情報通信専攻、コンピュータサイエンス専攻の4専攻で構成されている。また全科目選択制が取られ、必修科目がないため、幅広く基礎工学を学ぼうとする学生には面白い大学である。

最先端の研究というわけにはいかないであろうが、一通りの専攻が揃っており、基礎分野に強い学者が集められ、学ぶ環境は整っているようだ。就職状況も良く、西日本を中心とした中堅・大手の企業に数多く就職している。

残念ながら文系のマネジメント学部は、凡庸な女子大学の経営学部レベルの陣容である。一方、工学系の方は、ロボットや宇宙、生命科学やナノまで揃っているので、金と時間があれば、今から私が学んでみたい大学である。