月別アーカイブ: 2012年1月

"MANIFESTO"

ここしばらくライムスターというヒップホップグループの「MANIFESTO」というCDを借りて車の中で聴いている。
グループのリーダーである宇多丸さんが頻繁にTBSラジオに出演するので興味を持ったのがきっかけである。ラジオを聴いていると、同世代の男性のアンテナにズバリとひっかかるような、映画やアイドル、巣鴨中学高校時代のねじ曲がった心境や逸話などの話が多い。また小島慶子さんの昼の番組にも出演しているのだが、そのやりとりはラジオならではの面白さが詰まっている。
芸名の不思議さと相俟って、一体どういう人なのだろうと2年近く関心を持っていたのだが、前日dmmに加入しやっと借りることができた。

日本語ラップというと、十数年前に大流行してそのまま消滅したのかと思っていた。当時は女性アイドルがボーカルをつとめていたり、歌詞も無理矢理韻を踏んだようなおちゃらけたものが多かったよう思う。
しかし、このライムスターの曲は、基本男性の野太い声とノリのよい音楽に乗せられ、日常生活の中で感じる悲哀や違和感が心地よく語られる。

『近頃の若者はなぜダメなのか』

原田曜平『近頃の若者はなぜダメなのか:「携帯世代と「新村社会」』(光文社新書 2010)を読む。
中学高校の頃からケータイと慣れ親しんできた若者世代の人間関係や社会観を、独断や偏見を廃し、1000人の若者へのインタビュー記事を基に丁寧に描き出す。
ブログやSNSによって

生活保護 150万世帯に

本日の東京新聞夕刊に、厚生労働省が全国で生活保護を受給している世帯が150万2320世帯が過去最多を更新したと発表したとの記事が掲載されていた。昨年7月時点で60年ぶりに最多を更新して以来、受給世帯・人数ともに増加が続いている。
世帯類型別の内訳では、最も多いのが「高齢者世帯」63万5367世帯、続いて「傷病者世帯」32万1712世帯、次いで、働ける年齢層を含む「その他世帯」が25万4841世帯だった。

この統計の中には、働いているにも関わらず生活保護支給水準よりも低い生活を強いられているワーキングプアは含まれていないので、潜在的な貧困層はかなり多いと思われる。国内の総世帯数が5000万弱なので、生活保護だけで約3%、生活保護水準の貧困層を含めれば凡そ5%は苦しい生活を強いられていることになる。生活保護が最低限度生活の保障という側面を考えると、市町村にはよりフレキシブルな対応が求められるであろう。

一方、本日の東京新聞朝刊には、「防げ貧困の連鎖・下」と題して、埼玉県の生活保護世帯の支援事業現場の記事が掲載されていた。埼玉県では生活保護受給者を支援する「アスポート事業」が昨年9月より実施されている。この「アスポート事業」とは、「職業訓練支援員」「住宅ソーシャルワーカー」「教育支援員」の3事業からなっている。このうち「教育支援員」は塾に通えない生活保護世帯の中学生を対象とした大学生などのボランティア事業である。
「職業訓練支援員」事業において、県内4カ所に事務所が置かれ、昨年11月末時点で、575人が介護や清掃、パソコン操作などの就職訓練につながり、613人の就労が決定し、81人が生活保護から自立してる。

「アスポート川口」で職業訓練支援事業員を務める高橋氏は、仕事を失い自信を失っている人の心を開き、生活環境を整え、悩みや働けなくなっている理由をともに考え、自信を回復することが大切だと述べる。

こうした中学校の担任の先生のような地道な支援が、生活保護からの脱却には必要である。生活保護の量的な拡充は必要であるが、一方で、生活保護に陥らない、生活保護から自立する働きかけの二つの歯車が、地方行政の施策のレベルでかみ合っていくことが大切である。一方を国に丸抱えだったり、一方を民間に丸投げしたりでは、いつまでも無責任行政が罷り通ってしまう。

劇場版『機動戦士ガンダム』

年始にテレビで放映されていた、劇場版『機動戦士ガンダム』(1981 松竹)をビール片手に見た。
小学生の頃は、宇宙を舞台にしたリアルなアニメだと思っていたが、重力や風圧など全くあり得ないような設定の場面が多く、突っ込み所のオンパレードであったが、自分自身の夢中になった子どもの頃の記憶を思い出すことができ、楽しむことができた。
欲しかったプラモデルを手に入れるために、町で2軒しかなかったおもちゃ屋に朝から並んだことや、友人と「ガンダムごっこ」に興じていた古い記憶が、頭の引き出しから漏れだしたような感覚だった。

『エヴァンゲリオン』の庵野秀明監督が、多大な影響を受けた作品だと述べているが、改めて『ガンダム』と『エヴァ』の似ている点、異なっている点が見えてきた。

今年のセンター国語

先週の土曜日に行われたセンター試験の国語の問題を解いてみた。
60分くらいの解答時間で自己採点170点行ったか行かないかであった。
昨年も同様であったが、4〜5年前に比べ大分オーソドックスな本文、問題に戻りつつあると感じた。

評論文も小説も、どこかの入試で使われているのではと心配になるほど読みやすく、出題も極めて定式通りであった。古文も前半は読みやすい説話形式で、主語の転換点の把握が容易で、すらすら解くことができた。後半の和歌は注が必要であろう。意図的に注を外したのか。漢文も高校の授業で用いられる問題集や参考書の範囲を逸脱しておらず、今後とも使い回しができそうな良問であった。