恒川光太郎『夜市』(角川書店 2005)を読む。
第12回日本ホラー小説大賞を受賞した表題作のほか、書き下ろし作『風の古道』が収められている。『夜市』はふと迷い込んだ奇妙なルールがある冥界の縁日 が舞台であり、『風の~』では、この現世とつながる鬼や死者、神が歩く古道が舞台となっている。どちらの作品も、陶淵明の「桃花源記」や「となりのトト ロ」の森の神の世界のように、現実世界と異世界との接点が巧みに描かれる、印象に残る作品であった。
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『キオミ』
内田春菊『キオミ』(福武書店 1995)を読む。
1994年8月号の「海燕」に掲載された表題作のほか、6編の短編が収められている。女性が読むアダルト小説のような内容で、女性の子宮が、女性と男性の間の心理的な溝の象徴として描かれる。妊娠や出産を巡る女性の不安なども描かれるのだが、男の私には、正直あまり心に残る内容ではなかった。
妊娠は無事安定期に入ったが、それでも私はまだ蕗男をかき回し棒としてこき使っていた。私はまるで蕗男の体の中の精液を全部出させてやる気でいるみたいだった。そしてそれでも飽きたらず、彼のいない時は自分で自分を慰めた。私の中の暗黒は、蕗男と、その子どもと、牧男の亡霊の三人がかりでも埋められないのだ。きっと一生私はこの渇きの中でもがいていなければならないのだ。
『ダイハード4.0』
テレビで放映された、ブルースウィリス主演『ダイハード4.0』()を観た。
大迫力な爆発シーンや肉弾戦闘が冒頭からクライマックスまで次々と展開される。挙げ句にはミサイルで破壊された高速道路をダンプカーで突っ走ったり、戦闘機の上に乗ったりと、アニメの世界のような大立ち回りまで披露される。観客が求めているような迫力や勧善懲悪な刑事の活躍を提供する「サービス精神」に溢れている。しかし、無名の俳優が自社ビルを破壊するという、ローコストながら第1作の持つエネルギーは感じられなかった。
パンフレット研究:駿台トラベル&ホテル専門学校
駿台トラベル&ホテル専門学校のパンフレットを読む。
巣鴨駅から徒歩3分と至便な場所にある。1980年に駿台予備校の姉妹校として設立された駿台トラベル専門学校が元となっている。
現在では、旅行会社や鉄道会社への就職を目指すトラベルコースと鉄道コースから成るトラベル学科、キャビンアテンダントやグランドサービススタッフを目指すエアライン学科、そしてシティホテルコース、テーマパーク・リゾートコース、ブライダルコースから成るホテル学科の3学科で構成されている。他の専門学校のパンフレットの例に漏れず、就職のことが華々しく紹介されている一方、実際の授業の説明は必要最低限のものになっている。
2009年3月卒業生の就職率は100%、希望する業界への就職率も94%と高い実績を残している。駿台予備校などの姉妹校卒業生や、卒業生親族、また、英検2級もしくはTOEIC550点以上で学費10万円免除など、分かりやすい学費サポート制度も魅力的である。