月別アーカイブ: 2009年10月

パンフレット研究:和洋女子大学

和洋女子大学のパンフレットを読む。
1897年に東京九段に創設された和洋裁縫女学院を前身として、1928年に和洋女子専門学校となり、46年に現在地の千葉県市川市国府台に移転し、49年に新制の大学として発足した伝統を誇る大学である。大学名の「和洋」は、「和魂洋才」「明朗和順」の教育理念を掲げ、和裁と洋裁の両方を学ぶ当時では先進的であった前身の学校名に由来する。

現在は「学群・学類制」が導入され、英語・英文学類と日本文学・文化学類、心理・社会学類からなる人文学群と、服飾造形学類と健康栄養学類、生活環境学類からなる家政学群の二つの学群で構成されている。日本文学・文化学類の中にマンガを主な研究対象とする文化芸術コースや書道コースが設置されていたり、心理・社会学類の中に、充実した科目構成をとる国際社会システム専修が置かれていたり、生活環境学類の中に社会福祉コースを設置するなど、開講科目をじっと見ていくと、充実したカリキュラムをとっていることに気づく。就職や資格、海外研修やインターンシップなどの特別プログラムは一通り置かれているが、あまり前面に打ち出されてはいない。

一見選択肢が多いように見えて、結局は資格取得が第一のうすっぺらい教育システムをとる郊外型の通り一遍の女子大に比べ、伝統の重みを感じるといったら誉めすぎであろうか。

本日の東京新聞夕刊から

本日の東京新聞夕刊に、ダミー団体による政治資金規正法違反事件を引き起こした西松建設(東京)が、戦時中に強制連行され、過酷な労働を強いられたとする中国人の元労働者らの訴訟に対して、2億5千万円を信託し、被害救済のための基金を設立することなどを条件に元労働者と和解するとの記事が掲載されていた。

2007年に最高裁は「日中共同声明で中国人個人の賠償請求権は放棄された」と請求を棄却する判決を出しており、戦後補償裁判で、企業が自らの判断で金銭補償に応じるというのは異例であるとのこと。同社によると「会社の今までの問題を見直す取り組みの一環」であるそうだが、私は極めて正しい判断だと思う。会社の方向性の理念を見直す、その第一歩として、国が放棄した戦後補償に遡るというのは、一企業として大変勇気のある英断である。政権交代に絡む政治的背景があるのかもしれないが、これからの西松建設に注目していきたいと思う。

『NHKスペシャル:自動車革命』

『NHKスペシャル:自動車革命 第1回 トヨタ新時代への苦闘』を見た。
ガソリン自動車からハイブリッド車、そして電気自動車へと移り変わっていく、自動車業界のパラダイムチェンジを、トヨタ社を中心に追う内容であった。自動車業界は裾野が広いので、一製品が大きく変わるということは、それを製造するライン、そしてそのラインを流れる製品、製品を構成する部品まで大きく変わっていくということである。トヨタ社だけでなく、系列企業のアイシン、またその下請け企業も変革を迫られている実態がよく分かった。自動車業界が地殻変動を起こすということは、それを支える地方や国のシステムも大きな影響を受ける。単にガソリンから電気へと駆動のメカニズムが変わるだけでなく、社会や教育がどう変わっていくのか注視していきたい。

パンフレット研究:日本女子体育大学

日本女子体育大学のパンフレットを読む。
1922年に二階堂トクヨが設立した二階堂体操塾を起源とし、1926年に日本女子体育専門学校、関東大震災後に世田谷区烏山に移転され、50年に短期大学となり、65年に4年制大学として発足した伝統ある学校である。体育学部のみの単科大学であり、スポーツ科学専攻と舞踊学専攻の2専攻からなる運動科学科と健康スポーツ学専攻と幼児発達学専攻の2専攻からなるスポーツ健康学科の2つの学科で構成されている。
名前は体育大学であるが、プロスポーツ選手養成というよりは、陸上やダンス、球技を通じて、健康な身体と健全なる精神の育成に重点が置かれている。就職先も教員が18%、スポーツ関係が18%に対して、一般企業が55%を占める。

パンフレット研究:文京学院大学

文京学院大学のパンフレットを読む。
1924年に自立した女性の育成を目指して創立された島田裁縫伝習所を母体とし、1964年に文京女子短期大学などを開学したのち、1990年文京女子大学として開学。経営学部を置き、96年には併設の専門学校を保健医療学部に改組し、97年には人間学部を増設、そして2001年には外国語学部を増設し現在に至っている。2002年には現校名に改称し、男女共学となっている。
元来が女子大だったので、あまり認識はなかったが、南北線の「東大前」駅徒歩0分の至便な場所にあり、どんどん学部や学科、専攻が新設されている。人気のない日本文学科や哲学科はなく、マーケティングやコミュニケーションといった横文字の専攻や目立つ。実学志向、就職直結カリキュラム、少人数ゼミの充実、おしゃれなキャンパス環境など、先日読んだ「武蔵野大学」とよく似た学校である。