澤登俊雄『少年法:基本理念から改正問題まで』(中公新書 1999)を3分の1程読む。
本論の途中から細かい司法手続きの話になって頭に入らなくなったので、全部すっ飛ばして残りの結論だけ読んだ。
昨今凶悪化していると報道される少年犯罪の実態を諸外国との緻密な比較を通して分析し、少年法改正を巡る保護主義と厳罰主義の実際的な運用と効果を丁寧に論ずる好著である(はずだ)。著者は、マスコミで声高に少年犯罪の危険性が叫ばれるが、日本の犯罪現象は諸外国に比べ非常に安定した傾向を持続しており、少年犯罪自体も諸国と比べよい状況にあると結論づける。その理由として少年法、少年裁判における教育的機能が有効に働いてきた背景があると述べる。
そして、マスコミの安易な少年犯罪の厳罰化論調に釘を刺し、これまで警察、家庭裁判所、家庭裁判所調査官らによって積み上げられてきた保護手続きを優先しながら、家裁調査官の位置づけをはっきりさせ、付添人や否認手続などの犯罪少年の裁判権を拡充するような具体的手立てが必要であると結論付ける。
保護主義と適正手続きとの関係について、両者の両立ないし調和のあり方について、実務で利用できるような具体的な準則をどんどん作り上げていくことが必要です。この問題は、従来から、家庭裁判所の機能として、司法機能とケースワーク機能があり、この両者の調和こそ保護手続の真髄であるように説かれてきたところです。