日別アーカイブ: 2001年12月8日

『われら青春の途上にて』

李恢成『われら青春の途上にて』(講談社)を読む。
これまでの日本人が忘れてきた在日の問題、とりわけ日韓基本条約以前の、そしてサンフランシスコ条約締結以前の問題を強烈に浮かび上がらせている。収録作の一つである『死者の遺したもの』(群像1970年2月号)という作品は、在日の父親が急死し、その葬儀を総連と民団の共同葬で行ってはという提言を巡って、兄弟が政治に翻弄されながらその家族の絆を見つけて行くという話である。私たちがついつい見逃しがちな朝鮮戦争の問題に光を投げかけている。そういえば先日朝銀東京事件に際し、朝鮮総連の本部に警察が入ったが、歴史的側面から総連と民団について報道しているところはなかった。

先日生徒会の生徒と韓国大使館へ出掛けた。そこで韓国側の青年は日韓併合以降の35年の支配の歴史を忘れてはいけないことを強調していた。韓国がなぜ日本文化の流入を制限してきたのか、それは日本が植民地支配の際に言語を奪い、名前を捨てさせるという非道な行為に出たからだ。だからこそ来年のワールドカップを日韓の架け橋にしたいと結んでいた。私は韓国の高校生が統一についてどのような考えを持っているのかと質問したが、明確な回答は得られなかった。いずれにせよ、私たち日本人は統一の問題に関し、その大きな阻害要因となりうる、米軍の基地問題、安保に向き合わなくてはならないだろう。