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『クルマ・20世紀のトップランナー』

星野芳郎『クルマ・20世紀のトップランナー』(岩波ジュニア新書 1986)を読んだ。
20世紀はまさにクルマの時代であったと改めて思う。帝京大学教授の降旗節男氏は戦後の日本のマスコミ・教育・政治・行政のすべてがクルマのためであったと述べていたことを思いだした。降旗氏の言を借りるならば、日本の戦後教育はクルマを購入することができる中間所得層の拡大のためにあり、テレビ、新聞、ラジオはクルマのCMを流すことが主目的で、番組はクルマのCMの間を埋めるものだと言える。また高度経済成長はクルマを走らせるための国道・高速道路への公共投資が柱であり、それを監督する運輸省・建設省を牛耳った自民党が55年体制を支配し続けたのだ。バブル以降情報通信分野への公共投資が叫ばれているが、クルマを走らせるためだけに国造りを行ってきた戦後の総括が必要であろう。