日別アーカイブ: 2000年8月21日

Kー1

昨日の夜フジテレビでKー1を観た。
試合自体はまあ面白かった。数年前に無敵を誇ったモーリススミスをピーターアーツは破った訳だが、そのピーターアーツもここへ来てかなり研究され尽くした感がある。ピーターアーツは左のジャブを出したら右のロー、右のストレートを出したら左のミドルといったコンビネーションの巧みさと圧力に持ち味があったのだが、そのリズムが相手に読まれている。ちょうど3年くらい前に極真で前蹴りで決まった試合があったが、それに状況は似ている。
しかしどうもKー1のテレビ演出には嫌悪感を感じる。昨日もイギリス出身のキックボクサーを「大英帝国の不沈艦」と称していた。それに向かうのが日本人の「武蔵」であるのだから、何をか言わんである。Kー1の主催者である正道会館のバックには暴力団が絡んでいるという記事が月刊誌「噂の真相」に暴露されていたがその影響もあるのだろうか。空手(極真)対キックボクシングという演出はそのまま枢軸国対連合国を彷彿させ る。

『影の地帯』

松本清張『影の地帯』を読んだ。
やはり携帯電話普及以前ゆえに成立しえた物語世界観だという気がしてならない。携帯が普及してしまった現在では、山で遭難したり、病院に隔離されたりして外部や、家族と連絡が取れなくなるという状況がリアリティーを持ちえない。大体ある人物と連絡を取るのに、その家に連絡して、家族に伝言を託すという一場面一つとっても不自然な感じが残る。それほどにコミュニケーションのスタイルが変わっていく中で、小説の世界観が現実に追いつき、追い越していくのは難しいことになるのだろう。