ナンシー関『何をいまさら』(世界文化社 1993)を今読んでいる。
テレビという媒体は最近「日常」「普通」を追う傾向が見られるが、誰も「それ、自分の日常だ」というリアル感を感じていないという指摘は、良く耳にすることだが、改めてなるほどと思った。私も高校教員をやっているが、高校・大学の友人に話すと、「最近の高校生ってどう?」という質問を必ずと言って良いほど訊かれる。その質問者の頭の中にはテレビで面白おかしくとりあげられる「渋谷系高校生」がイメージされている。しかし一方で90年前後のバブル期に高校時代を送っていた団塊ジュニア世代の私たちも、当時の大学生や20代の社会人は高級車を乗り回し、ジュリアナで騒ぐものだというテレビからの映像を受け取っていた。
高校野球が過剰なまでにひた向きで、純粋な高校生像を作り出している一方で、バラエティー番組等で矮小化された高校生群像が一人歩きしてしまっているテレビのからくりを質問してくる相手に教えるのはそう容易いことではあるまい。
『何をいまさら』
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