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『死ぬまでにしたい10のこと』

イザベル・コヘット監督脚本『死ぬまでにしたい10のこと』(2003 松竹)を観に行った。
制作者の多くがスペイン人で、俳優はカナダ人やアメリカ人という異色の映画である。余命3ヶ月と診断された23歳の女性の心理を巧みに描いていた。
解説者風に述べるならば、死を前にすることで人間は初めて自らの生の目的を問い始める。しかし将来の夢を夢想する前に17歳で結婚し、親の庭先にあるトレーラーの中で暮らす女性にとって、残された人生でやり残したことは「家族でビーチへ行く」ことや「爪とヘアースタイルを変える」など容易く実現可能なものしかない。男である私はこの映画の主題をそうした広い世界を知ることが出来なかった女性の悲劇であると捉えた。しかし女性の見方はかなり違ったものになるだろう。

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『ボウリング・フォー・コロンバイン』

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マイケルムーア監督作品『ボウリング・フォー・コロンバイン』を観た。
コロンバイン高校での銃乱射事件の背景を追いながら、アメリカの銃社会に深く切り込んでいく。右顧左眄しながら、根底に横たわる行き過ぎたコマーシャリズムや黒人差別、武力ありきの外交政策に対する批判を投げかけていく。作品中でアメリカの個人主義的な行動に対し、日本の同情主義を褒め称えていたが、当の日本人からすると日本人の思いやりなるものも、通勤通学での光景を見るにアメリカと似たようなものであろう。

『阿修羅のごとく』

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森田芳光監督『阿修羅のごとく』(2003 東宝)を観に行った。
向田邦子原作の映画化で女性の「恐怖」がたっぷり描かれていた。夫の不倫の疑惑が高まれば高まるほど笑顔があふれてくる。また姉妹の不幸を心の底では望み、妹が不幸になると優しく接することが出来るという女性の心理も巧みに描かれていた。淡々とした日常の中に張り巡らされた人間関係の複雑さに、改めて鈍感な私は怖さを感じざるを得ない。

『ロボコン』

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古厩智之監督『ロボコン』を観に行った。
ウォーターボーイズを彷佛させるようなハッピーエンドの予想通りの展開であったが、高校生世代ががむしゃらに一つの目標に向かっていく姿はやはり清々しい。予算に見合った良い意味で背伸びしていない映画であった。たまにはこのような淡々とした映画もよい。

『呪怨2』

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昨日映画『呪怨2』(清水崇監督・脚本)を観に行った。
身の毛もよだつような恐怖シーンの連続で大変疲れる映画だった。特別惨忍な登場人物や血がどくどく飛び出す場面などないのだが、匿名性の恐怖がうまく演出されていた。芥川龍之介の作品で有名な『羅生門』に「頭身の毛も太る」という恐怖の心理を表す表現あるが、まさに毛が太るような息を飲む演出はさすがと言いたい。おそらくは続編も用意されているのだろう。