読書」カテゴリーアーカイブ

『フェイスブックが危ない』

守屋英一『フェイスブックが危ない』(文春新書 2012)を読む。
人は誰しも学歴や思想、趣味などを多くの人に知ってもらいたいという承認欲求がある。そうした人間の欲を収集するフェイスブックサイドの危険性と、個人情報を盗み出そうとするハッカーの両面の危険性が指摘されている。

『水と緑と土』

富山和子『水と緑と土:伝統を捨てた社会の行方』(中公新書 1974)を読む。

徹底して、水と緑と土を一環のものとして捉える哲学に支えられ、上流と下流、水路と水田を分ける近代的な発想を否定する。特にアスワン・ハイ・ダムについては、「20世紀最大の失敗」と手厳しい。1971年に完成したアスワン・ハイ・ダムは、元々1902年に英国統治時代に建設されたアスワン・ロウ・ダムのすぐ上流に作られている。アスワン・ロウ・ダムの時代から、水と沃土の適度な氾濫がなくなり、土壌中に塩分が蓄積されはじめ、化学肥料の大量使用が開始されている。また、上流の森林が荒らされたことにより、土壌侵食が加速度的に進行し、ロウ・ダムはその後30年間に3度も拡張されている。さらに、白ナイルと青ナイルの上流にもダムが建設されねばならなかった。こうした教訓が生かされることなく、ハイ・ダムが建設されてから、寄生虫の宿主となる巻貝が海に流されずに流域に留まり、風土病(住血吸虫症)が蔓延したこともある。

ネットで検索したところ、著者の富山さんは現在もご存命で、九条科学者の会にも名前を連ねている。本文中に「パンタロン姿」という言葉が出てくるほど、時代を感じる本ではある。

勉強不足な点があったので、引用しておきたい。エチオピア(アビシニア)高原の気候区分は、標高の関係Cwである。熱帯収束帯の北上とモンスーンの両方の影響を受けるため、特に夏場の降水量が多くなる。逆に冬場は同じくモンスーンの影響と、亜熱帯高圧帯の南下により、極端に降水量が少なくなる。

青ナイルは、水と沃土の量からいえばナイルの主役だった。ナイル川の水の7分の6はこの青ナイルから送られ、氾濫も青ナイルによってもたらされた。毎年5〜6月になると、エチオピアの山地のアビシニア高原にはインド洋からモンスーンがやってきて大量の雨を降らせる。だが未開の大森林は、降水を一挙に押し流させはしなかった。水は一旦地下に浸透し、長期間かけてから再び地表に流れ出た。その水は奔流となって岩石をも洗い、無機物を含んだ沈積土を運んだ。こうして7月、エジプトに洪水が訪れた。

『職人という生き方』

日本職人研究会『職人という生き方:中高年でもできる転身・生き甲斐探し』(双葉社 1999)を読む。
編集はどこかのプロダクションに任せているのであろう。中高年になって脱サラ(もはや死語か?)して、職業訓練校や専門学校に入り直し、一人で仕事を完結できる職人の道を選んだ30人が紹介されている。企業の研究所を50歳で辞め庭師になった方や、物販会社の取締役を辞めて蕎麦職人なった方など、経歴も様々である。煩わしい人間関係から自分のペースで仕事を進められるのは魅力ではある。

ただし、成功した例だけ紹介されているので、失敗例も和多くあるのだろう。

『体系的に学ぶ検索エンジンのしくみ』

神﨑洋治・西井美鷹『体系的に学ぶ検索エンジンのしくみ』(日経BPソフトプレス 2004)の前半をサラッと読む。
「体型的に学ぶ」と名打っているだけあって、単なる検索のやり方だけでなく、Yahoo!やGoogleの歴史に始まり、すでに買収された検索エンジンのInktomiやLycosの説明や実際に入力された文章の解析方法など、教科書的な内容となっている。

『いまこそなりたいフードコーディネーター』

祐成二葉監修・森有貴子著『いまこそなりたいフードコーディネーター』(中央経済社 2009)を読む。
監修者の祐成二葉さんの母で、日本初のフードコーディネーターの祐成陽子さんが校長を務める、「祐成陽子クッキングアートセミナー」の広告宣伝を目的とした本となっている。本書の内容も同スクールの卒業生の紹介がほとんどを占めている。

「フードコーディネーター」なる名称も、養成校も上記の祐成陽子さんが作ったものなので、本書の説明から拾ってみたい。フードコーティネーターの仕事には次のようなものがある。

  1. フードスタイリング&テーブルコーディネート
  2. 料理研究
  3. メニュー開発や商品開発
  4. 料理教室の運営
  5. 飲食店舗の運営
  6. レストランプロデュースやコンサルタント
  7. 食関連イベントのコーディネート

コーディネーターという職名からも分かる通り、食を巡る様々な分野との連携を生業としている。調理師資格を持っている人が多く、さらにはお皿への盛り付け方や撮影時に美しく見えるフルーツや野菜のカット方法、クロスや内装、流れている音楽のスタイリングも含まれている。

私には最も縁遠い世界の話であった。