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「モスクで爆発 100人死傷」

本日の東京新聞朝刊の国際面に、アフガニスタンのシーア派のモスクで爆発が起こり、100人を超える死傷者が出たとの報道があった。金曜日はイスラム教の安息日にあたり、礼拝が行われていることを知っての犯行である。記事には明記されていないが、スンニ派の過激派組織「イスラム国」が起こした可能性が高い。

ちょうど授業の中で、イスラム教の90%を占めるスンニ派と、イランを中心に信仰されているシーア派について触れたところである。同じイスラム教なのだが、今から1500年以上前の、イスラム教の指導者の後継争いに端を発している。スンニ派はムハンマドが神から預かったとされる言葉を記した「コーラン」と、ムハンマドの慣習をまとめた「ハディース」が信仰のベースとなっている。一方、シーア派はムハンマドの血を引いた第4代カリフ(代表)のアリーの信者であり、指導者への帰依という側面が強い。

シーア派は数少ないとは言え、イランのほぼ100%の方が信仰している。また、イラクやイエメンではスンニ派とシーア派の割合が拮抗しており、絶えず政治の混乱が続いている。さらに、シリアでは人口の2割にも満たないシーア派の亜流であるアラウィー派が政権を握ったために、多数派のスンニ派への激しい弾圧が続いている。そのシリアのシーア派アサド政権を支持しているのが、レバノンを拠点とするシーア派の過激組織「ヒズボラ」である。シリアを舞台にスンニ派とシーア派の両過激組織が衝突し、多くのシリア難民が生まれている。

今回の記事もアフガニスタンだけの問題ではなく、中東全体の問題であるとの視野を大事にしたい。こうしたことを授業の中で育んでいきたいと思う。

「首都直下型 常に警戒を」

本日の東京新聞朝刊に、一昨日の首都圏を襲った地震の分析が掲載されていた。
記事によると、千葉県北西部を震源とする今回の直下型地震だが、原因は太平洋プレートとフィリピン海プレートの境界付近で起きたという。あれっと思って少し調べてみた。

授業の中で、日本は4枚のプレートの合わせ目に位置しているという話は何度かしている。しかし、以下の平面図を見ても太平洋プレートとフィリピン海プレートの境界は伊豆・小笠原海溝であり、関東から遠く離れている。今回は直下型地震なので、千葉県北西部の真下に震源がないといけない。

そこでネットで調べてみたところ、伊豆半島付近で北米プレートの下にフィリピン海が潜り込み、関東地方の地下深いところで、フィリピン海プレートの下に太平洋プレートが沈み込んでいることが分かった。今回の地震の深さが75kmだと判明しているので、私たちが暮らす足元の地面を75,000m掘っていくと、下図にあるような今回の震源まで辿り着けるという訳だ。

「豪の源泉配備 支持6割」

本日の東京新聞の国際面の記事から。
つい見過ごしがちな記事である。オーストラリアが米英の原子力潜水艦を配備することに対する、オーストラリア新聞の世論調査の結果が報じられている。
もともとオーストラリアはフランスと共同で自前の原子力潜水艦の開発を進めていたが、それでは間に合わないので、米英製の原子力潜水艦を導入することになったということである。

いきなり原子力潜水艦と言われても、ピンとこない人が大半である。かくいう私もそうである。ネットの情報を調べたところ、原子力潜水艦は核分裂エネルギーを動力源とするため、大気と絶縁した長時間航行が可能で、燃料消費量がきわめて少なく、1回の燃料装入で数年間航行を維持しうる大出力を出せるとのことである。

こうした記事の背景に、米英による中国封じ込め政策を指摘しておきたい。「一体一路経済圏構想」を押し進める中国は、南シナ海やインド洋で覇権を握り、欧州やアフリカの市場を牛耳りたいとの思惑がある。一方、米国や英国、インド、日本の4カ国は、オーストラリアを巻き込んで、中国の拡大を抑えたいとの戦略がある。バイデン大統領が執拗に香港や台湾、新疆ウイグル自治区での人権問題を持ち出すのも、こうした戦略に沿ったものである。

しかし、オーストラリア国内には多くの中国籍の人たちがおり、中国との貿易がオーストラリア経済を支えてきたと言っても過言ではない。オーストラリアにとって中国を敵に回すということは、自国の経済基盤が崩されるということと同義である。

そうした背景を踏まえて考察していくと、オーストラリアの米英の原子力潜水艦の配備の是非は、オーストラリアの政治経済に大きな影響を及ぼす問題であるということが分かる。米英豪で作る安全保障の「AUKUS」が、オーストラリアの経済に致命的な打撃を与える決定打となるおそれもあるのだ。

3学期の授業の中で、オーストラリアを巡る諸事情について補足したい。

「ミャンマーで通貨暴落、経済混乱」

本日の東京新聞朝刊に、ミャンマーの経済混乱が報じられていた。
通貨チャットが暴落し、輸入価格が急騰し、エネルギーや家電などの輸入価格が2倍以上になっている。今年の半ばからワクチンウイルスの接種が進んでいるアメリカの経済回復に期待が集まり、ドルインデックスが上昇し、世界的にドル高が進んでいる。開発途上国の通貨安はミャンマーだけのことではないが、それでも資源の少ない国なので、生活苦は著しいであろう。
衣料品などの輸出産業が伸びれば良いが、工場を動かすエネルギーが高騰しては、それもままならないであろう。

「英、インド太平洋の新秩序視野」

本日の東京新聞夕刊に、EUを離脱した英国が、米国や豪州、日本、インドと中国包囲網の一角を担うとともに、インド太平洋地域の英連邦の諸国との関係を再構築し、新たな世界秩序を目論んでいるとの分析が掲載されていた。

英連邦は、19世紀のヴィクトリア女王の時代(パックス=ブリタニカ)に始まり、カナダやオーストラリア、ニュージーランド、南アフリカ

シンガポール、マレーシア、インド、スリランカ、モルディブ