地理」カテゴリーアーカイブ

「農林水産物の輸出 最高」

本日の東京新聞朝刊に、円安の進行もあり、2022年上半期の農林水産物・職員の輸出額が6525億円にのぼり、過去最高だったとの記事が掲載されていた。福島第1原発事故以降、安全・安心に努めてきた日本の農産物が評価されているのであろう。
大変興味深い記事だったので、農林水産省のホームページをみてみると、中国・アメリカに1000億円を超える農林水産物を輸出している。また、国の規模でいうと香港、台湾、ベトナムの方が日本の輸出効果は大きい。

来年度の入試で出題されるとしたら、帆立貝といちごを除いて、加工食品が多いという点は注意が必要だ。今回の統計には入っていないが、日本の米も輸出が伸びている。といっても年間2万トンに過ぎないが。

「四日市ぜんそく 原告勝訴50年」

本日の東京新聞朝刊に、熊本県の水俣病、新潟水俣病、富山県のイタイイタイ病と並んで四大公害病の一つに数えられている四日市ぜんそくの判決から50年の模様が報じられていた。
メチル水銀が原因で脳が汚染され様々な神経障害を引き起こす水俣病や、カドミウムが原因で骨折を繰り返し全身を襲う痛みが生じるイタイイタイ病に比べて、四日市ぜんそくは字面だけみると印象が薄い。しかし、ぜんそくに悩み自殺した因果関係が不明瞭な患者を含めると、2000人以上の四日市市民が犠牲になったともいわれる。

また、この四日市ぜんそくの判決以後、大気汚染を取り締まる法律が制定されている。日本の負の歴史として確と記憶に留めておきたい。

「市区町村、夜間との比較」

本日の東京新聞朝刊に市区町村ごとの昼夜間人口比率に関する記事が掲載されていた。
記事中からそのまま引用するが、昼夜間人口比率とは「住んでいる人の数を夜間人口、通勤や通学で行き来する人を加減した数を昼間人口とし、夜に対する昼の比率を表」したものである。

一般的に、ビジネスや商業が集中する中心業務地区(CBD)では昼間の人口が高く、住宅地の多い郊外で夜間人口の方が多くなる。東京都千代田区は皇居を取り囲む東京都の中心地であり、実際に住民登録している人口は67,500人である。つまり、昼にはその17.5倍の120万人近い人たちが近隣の自治体から移入してきている。千代田区のイメージが湧きにくい人は下掲の地図をみてほしい。皇居を取り囲む地域で、国会や官庁だけでなく、有名デパートや大型商業施設、大学、専門学校が集中している地域となっている。

ただし、スケールの取り方によって見方が変わり、都道府県単位と市区町村単位で数値が異なる点に注意したい。市区町村レベルでみると、同じ23区郊外の足立区や北区、練馬区、大田区などは中夜間人口比率が100%を割っており、都心部の千代田区や港区、新宿区、渋谷区などに移入していることが伺われる。都道府県レベルで見ると、埼玉県、千葉県、神奈川県から東京都に移動していることが分かる。埼玉県も県レベルで捉えると昼夜間人口比率は0.88だが、商業施設が集まっているさいたま市大宮区だけでみると1.38と高い比率となっている。

「九州・山口に線状降水帯」

本日の東京新聞夕刊に、前線や低気圧の影響で特定の地域に次々と積乱雲が発生し、線状に伸びた地域に大雨を降らせる線状降水帯が記事になっていた。2014年の広島県での集中豪雨から注目されるようになった気象用語である。

予報が難しく、一気に災害級の降水を降らせるやっかいな存在である。2、3年前の早稲田大学の入試問題でも出題されている。

「北マケドニアがEU加盟交渉へ」

本日の東京新聞朝刊に、北マケドニアの記事が掲載されていた。旧ユーゴスラヴィアのスラブ人の国であり、埼玉県(733万人 2022年4月現在)の人口の3分の1の208万人の小さな国である。
1991年に旧ユーゴから独立した際はマケドニアという国名であったのだが、マケドニアは元々ギリシアを意味する言葉なので、ギリシアが猛反発したため、2019年に「北マケドニア」に国名を変更している。

さてEU加盟交渉が始まるとのことだが、すんなりとはいかないであろう。北マケドニアの一人あたりのGNIは約5,720ドル(2020年)である。隣国ブルガリアの一人当たりGNIが9,630ドル(2020年)なので、半分ほどである。

授業の中で扱ったが、高い賃金を求めて、一人当たりのGNIが低い国から高い国へと出稼ぎの労働者が転入する。一方で、安い人件費を求めて、一人当たりのGNIが高い国から低い国へ工場が転出していく。旧東欧諸国よりも格段に安い労働力が確保できるので、もしEUに加盟したらドイツやフランスの工場が進出してくることだろう。国内の産業の空洞化が一層進んでしまうので、交渉反対の声が強くなるであろう。