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「角川短歌賞」

 本日の東京新聞夕刊に「角川短歌賞」に関する記事が載っていた。第50回という節目に際して17歳の高校生小島なおさんが受賞したというのだ。角川短歌賞というと、ついつい俵万智を思い浮かべてしまうが、いたずらな技巧に走らずに素朴な感性を素直に伸ばしてほしいものだ。

中間試験の 自習時間の 窓の外 流れる雲あり 流れぬ雲あり
エタノールの 化学式書く 先生の 白衣にとどく 青葉のかげり
なんとなく 早足で過ぐ 陽差し濃く溜れる 男子更衣室の前

埼玉新聞より

本日の埼玉新聞に県内の障害者の就職状況に関する記事が載っていた。障害者雇用促進法では従業員のうちの障害者の割合を1.8%以上にすることを企業に義務づけているが、埼玉県内の企業では1.38%にとどまっており全国ワースト2位だということだ。そのため県内のハローワークを通して障害者6604人が求職中であるが、実際に就職出来るのは7人に一人の狭き門になっている。埼玉県では「彩の国障害者プラン21」なるものを掲げ、「ノーマライゼーション推進県」を標榜するが、そういったアドバルーン的な施策方針が見事に失敗に終わっている数字である。

「9・11後の世界:あの日は何だったのか」

本日の東京新聞の夕刊に西谷修氏の「9・11後の世界:あの日は何だったのか」と題したコラムが載っていた。
その中で、西谷氏は「平和」と「安全」の違いを指摘する。国と国との「戦争」はいずれ終結することで「平和」がやってくる。しかし、「テロ」集団との戦いは相手が見えず、不断に「安全」を確保するために軍事行動を続けなくてはならなくなると述べる。イラク戦争で問われているのは暫定政府への平穏な政権委譲によってもたらされる「平和」の定義ではなく、文明社会を遮二無二守ろうとする米国の際限ない「安全」の定義である。

「テロと戦争」の発動以来、「平和」という観念は追放された。代わって「安全」が戦争の旗印になる。「米国の安全のために、米軍は国外で戦い続ける」、二期目の出馬に際してブッシュはそう強調した。そしてこの戦争は、「文明世界」に属するあらゆる国々が参加すべき戦いだとも言う。豊かさのなかで「安全」に生きるためには、終わりのない戦争を続けねばならないというのだろうか。豊かさと繁栄は「平和」とともにあるのではなく、戦争によって確保される「安全」のもとにしかないと。

「ブラインドとしてのオリンピック」

本日の東京新聞夕刊の星野智幸氏の「ブラインドとしてのオリンピック」と題したコラムが興味深かった。
今月に入ってからアテネ五輪の報道がテレビ新聞を賑わせており、「ニッポン」が連呼され、金メダルラッシュによって君が代が何度も流れた。「左翼」的な文脈に乗るならば、「健全」なスポーツを隠れ蓑にして天皇制ナショナリズムが強化されたと書くところだろう。しかし、筆者はそうした安易な議論に異議を差し挟む。なぜなら、本当にナショナリズムが高揚しているのだったら、大会期間中に起きた沖縄米軍ヘリ墜落事故に対して強烈な反米感情が沸騰しているはずであり、政治的なナショナリズムとスポーツにおける愛国感情とは一体のものではないという証明になっていると述べる。

オリンピックはナショナリズムを煽り立てはしない、と私は思う。ただひたすら、見る者を高級な非日常に「日本」という名前を与え、感動の物語に変える。現実の構造とは切り離された、気分の上だけの淡い愛国感情と一体感が、現実を見ないことを正当化する。むしろ、今の日本はナショナリズムに対して免疫がないと思う。五輪で目を逸らしているうちに無意識に蓄積された鬱屈が、いざ現実を直視させられたとき、非常に安直な形のナショナリズムとして爆発することを私は恐れている。

米軍ヘリ墜落事故

本日の東京新聞の朝刊で、沖縄国際大学で起きた米軍ヘリ墜落事故のその後の推移についての丁寧に報道が載っていた。
幸いにも怪我人が出なかったため、単なる不遇な事故として扱われ、アテネオリンピックの報道合戦の陰に隠れてしまったが、何とも不愉快な話である。安易な「安全点検」終了後、事故の2日後には普天間飛行場での輸送が再開され、10日も経たないうちに同型のヘリが「イラクの自由作戦」への展開指令を受けて同飛行場から飛び立っている。すでに在日米軍は日本を他国の脅威から守るものではなく、米軍の一国中心主義の世界戦略の一端を担っているに過ぎない。沖縄の米軍基地は、米軍の一方的な正義のみが喧伝されるイラク戦争の「後方」基地であり、アジアにおける米軍のプレゼンス(脅威)を示すための「広報」基地になっているのである。

昨日沖縄の稲嶺知事と小泉首相が日本の捜査権を阻む日米地位協定の改定について話しあったが、党派的な言い方をするならば、沖縄における米軍基地のレーゾンデートルを無視した上での改定論議は「全くもってぇ、自民党小泉政権による茶番以外なにものでもない!」ものである。イラク戦争の是非、北朝鮮を含めたアジアにおける協同的な安全保障の枠組みという視点に立って、この米軍ヘリ墜落事故を見ていきたい。