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「米誤算 タリバン進攻防げず」

本日の東京新聞朝刊より。
アフガニスタンの反政府武装組織タリバンが一気に首都カブールまで進攻し、米国が20年にわたって作ってきた親米ガニ政権が一気に瓦解してしまった。驚くほど早いスピードである。この背景には、これまでの欧米型民主主義政権が軍事力をちらつかせてイスラム教の柱である政教一致を否定しきたため、タリバンの唱えるイスラム原理主義に対し一定程度民衆の支持が集まったと考えられる。

また、中国政府がタリバン政権に期待感を表明しているように、中国やロシア、パキスタン、イラン、カザフスタンなどの周辺国がタリバンを裏で支援しているとの報道もある。特に中国は新疆ウイグル自治区との軋轢を抱えているので、アフガニスタンの安定には気を遣うであろう。

外務省のデータによると、アフガニスタンの一人当たりのGNIはたったの530ドル(世界銀行2019)しかない。世界で一番貧しい国といってよいであろう。テレビニュースを見ても誰一人マスクを着用していない。マスクそのものが流通していないと考えられる。

日本が取る道は米国に追従して金を出すことではなく、人道支援の観点から難民の受け入れ体制を作ることである。外務省は「我が国の人道支援方針」の中で、次のように定めている。

人道支援とは一般に,人道主義に基づき人命救助,苦痛の軽減及び人間の尊厳の維持・保護のために行われる支援をいう。難民,国内避難民,被災者といった最も脆弱な立場にある人々の生命,尊厳及び安全を確保し,一人一人が再び自らの足で立ち上がれるよう自立を支援することがその最終的な目標である。このため我が国としては,人道支援は,緊急事態への対応だけでなく,災害予防,救援,復旧・復興支援等も含むものとして認識している。

人道支援の基本原則は,「人道原則」,「公平原則」,「中立原則」,「独立原則」であり,我が国はこれらの基本原則を尊重しつつ人道支援を実施する。
 人道原則とは,一人一人の人間の生命,尊厳及び安全を尊重することである。公平原則とは,国籍,人種,宗教,社会的地位又は政治上の意見によるいかなる差別をも行わず,苦痛の度合いに応じて個人を救うことに努め,最も急を要する困難に直面した人々を優先することである。中立原則とは,紛争時にいずれの側にも荷担せず,いかなる場合にも政治的,人種的,宗教的及び思想的な対立において一方の当事者に与しないことである。独立原則は,その自主性を保ちつつ人道支援を実施することである。

上記の「人道支援方針」を読めば、今回のアフガニスタンの混乱による難民の受け入れこそ、日本が取るべき道であることが分かると思うが、皆さんはどう考えるか。

『ヒマラヤペダル越え』

深町達也『ヒマラヤペダル越え』(文藝春秋 1989)を読む。
刊行当時慶応大学の学生であった著者が、チベットのラサからネパールのカトマンズまで自転車で走り抜いた冒険旅行記である。ヒッチハイクも入れながら、チョモランマのベースキャンプにも立ち寄っている。グーグルマップで調べたところ、約1000kmの道のりで、獲得標高が40000mというとんでもない数字が表示された。当時は舗装もされておらず、さぞ苦しい旅であったろうと推察される。

現在と同じく、中国の人民解放軍が市中を闊歩し、ダライ・ラマ14世はインドへ亡命しているが、まだ旅行での端々にチベットならでは独自の文化が感じられる。本人の手によるものなのか、出版社の手がかなり入ったのか分からないが、自転車での冒険よりも、内面の感動の表現に力が入るポエム的な要素もあり、その点はさらっと読み飛ばした。

ダウンヒルは、何といってもサイクリングの最大の楽しみだ。もちろんヒルクライムも充実感をともなう楽しみのひとつである。峠を征服する成就感だけでなく「登る」という作業自体にも生産的な楽しみを感じるときがある。だが、これは「勤労」の喜びだ。ストイックな心だ。
それに引き換え、ダウンヒルではすべてが逆転する。これこそ、いままで必死に貯めてきた「財産」を蕩尽する瞬間だ。刹那の快楽だ。本能の解放だ。価値の破壊だ。

「ハイチでM7.2 1297人死亡」

本日の東京新聞夕刊に、一昨日に発生したハイチの地震が報じられていた。
2学期の授業で扱うプレートの地図と照らし合わせてみると、今回の震源地の真下を「ずれる境界」が通っていることが分かる。地図を見る限り、今回の震源地は「狭まる境界」上にないので、海溝型地震に伴う津波の心配はほぼ無い。しかし、大地が大きく2つにずれる直下型地震となり、人間が生活する地域に直接大きな被害が出る。

外務省のデータによると、ハイチの人口は1,126.3万人、面積は北海道の約1/3程度の27,750平方キロメートルとなっている。人口密度は406人/平方キロメートルとなっており、日本よりも高い数値である。また、民族は中米の島国なのに、アフリカ系が95%を占める。元々は西アフリカから連れてこられた黒人奴隷の国である。一人当たりのGNIは790米ドルと、南北アメリカで最貧国となっている。現在でも主要な産業はカカオ、マンゴー、コーヒー、サトウキビなどの商品作物であり、19世紀あたりの世界史の教科書に出てきそうな雰囲気の国情である。

また、カリブ海は熱帯性低気圧(太平洋西部ではタイフーン、インド洋ではサイクロン、太平洋東部や大西洋で発生するものをハリケーンと呼ぶ)の通り道であり、北半球ではこの8月、9月に熱帯性低気圧の発生のピークを迎える。ハイチの経済状況を考えると、地震からの復旧が遅々として進まないところで、ハリケーンの被害が拡大することが予想される。